東海第2原発、避難計画の見直し検討 「3密」回避でバス2~3倍必要 茨城県

2020年7月22日 10時23分 毎日新聞 WEB

8.jpg新型コロナウイルスの感染拡大を受け、茨城県は、日本原子力発電東海第2原発(同県東海村)の事故に備えた県広域避難計画を見直す検討を始めた。感染症対策の観点から、住民の避難バスの確保に最も影響が出る見通しで、車内の「3密」を避けるため、県はバスの必要台数が従来想定の約2~3倍に膨らむと試算している。【韮澤琴音、安藤いく子】

見直しの検討対象は、避難方法の一部。現状の計画では、自力の避難が難しい高齢者や障害者などの要支援者や自家用車を持たない住民らはバスなどで避難する。しかし、車内で3密(密閉、密集、密接)を避けるためには1台約50人の定員を半数以下に減らし、台数を大幅に増やす必要がある。

 原子力防災対策が必要となる東海第2から30キロ圏内に住む住民は全国最多の約94万人。このうち事故時にバス移動が必要となる人は14万~15万人に上り、現行の計画では、避難には約3000台の確保が必要と試算している。

県は、県内のバス会社から全面的な協力が得られれば必要台数を確保できるとしていたが、県や原発から30キロ圏内の自治体の担当者は、感染対策を講じながらバスで住民を避難させるには「計画より2~3倍の台数が必要」と見込んでいる。

 県が計画の見直しを検討し始めた背景には、内閣府が6月、感染症流行下での原発事故時の住民避難は、感染拡大と住民の被ばくの双方を避ける方針を示したことがある。

内閣府が示した「基本的な考え方」では、自宅などで屋内退避を行う場合は、放射性物質による被ばくを避けるため、屋内退避の指示が出ている間は原則換気を行わないなどの対策が必要としている。感染症対策を盛り込んだ原発の避難計画は、政府が6月に東北電力女川原発(宮城県)の計画を初めて了承し、茨城県もこれを参考にしている。

 県原子力安全対策課は「新型コロナの感染拡大で、避難計画には感染症対策が求められる。避難時の感染防護策は必要だ」としている。すでに避難計画を策定済みの30キロ圏内5市町の一部も計画を見直す方向で準備を進めている。

必要台数確保は困難 コロナで経営不振影響 バス会社
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県は感染症流行下の住民避難で必要なバスの台数を大幅に増やす検討を始めた。避難者の感染防止のためだが、県バス協会との協力協定は未締結の状況が続く。感染拡大の影響で経営不振に陥ったバス会社からは「増強は不可能」との声もあり、必要台数の確保は困難な状況となっている。

 「感染症流行前から、避難車両の確保は課題だ」。県の担当者はこう話し、住民の避難バス確保は計画に実効性を持たせる上で大きな課題となっていることを明かした。

現状の計画では、東海第2の事故時に即時避難となる原発5キロ圏内の東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市だけでも約400~500台のバスが必要としている。30キロ圏内に3万6000人が住む常陸大宮市では対象地域で車を持たない人は約5000人、避難に必要なバスは約100台と試算。県全体では約3000台を用意しなければならない。

 しかし、県バス協会などによると、地域ごとに必要なバスの台数や運転手の安全確保のための対策など、協力に必要な条件が示されていないため、バスの確保は困難となっているのが現状だ。

さらにバス内で3密を避けるには、台数を増やして1台の定員を半数以下に減らす必要がある。必要台数は約2~3倍に膨らみ、バスの確保はさらに困難になる。県の担当者は「感染対策を導入すれば、バスの確保はさらにハードルが高くなる」と頭を抱える。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大により、観光業には大きな影響が出ている。需要の減少で遠足に使われる貸し切りバスを休車し、経営が落ち込んでいるバス会社も多い。

休車措置をとっているバスは、事故を防ぐために必要な3カ月点検や車検を実施していないため、仮にこの状況が続いた場合、バス会社は保有するバスを売却することも考えられる。

 3台のバスを手放した常陸大宮市内のバス会社の男性社長は「感染拡大前から協力できるか分からなかった。2~3倍の数を用意しろと言われても不可能だ」と話した。見直される避難計画に実効性を持たせられるか、不透明な状況だ。

原発安全神話を象徴する広告塔、双葉町での展示を要望

2020年7月21日 14時37分 朝日新聞 WEB

AS20200720002354_comm.jpg福島県双葉町で掲げられてきた原発のPRの広告塔について、町が県に今秋オープン予定の「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)での屋外展示を求めていることが町への取材で分かった。

館内での展示を検討してきたが、大きさの都合で難しいという。

 広告塔は高さ4・5メートル、幅16メートルで、町が1988年に双葉駅前、91年に町役場前に1基ずつ設置

「原子力明るい未来のエネルギー」など住民から募集したPR標語を掲げ、事故後に原発の安全神話を象徴する負の遺産として広く知られるようになった。

伊沢史朗町長は20日、朝日新聞の取材に「原子力政策を推進した町が被害に遭った。

その反省も含め、訴えかけるものとして展示して欲しい」
と話した。

放射性物質の防止技術をコロナに 原発保守管理の企業が開発

2020/7/19 15:56 (JST)7/19 15:59 (JST)updated 共同通信 WEB

614840d684da501768b779ea452cac3f.jpg東京電力福島第1原発で保守管理業務を請け負ってきた企業などが、放射性物質拡散防止技術を応用し、医療施設向けに新型コロナウイルス感染患者からのウイルス飛散を個別に防ぐ「陰圧クリーンドーム」を開発した。

 患者は本来、院内感染予防のためウイルスが外に漏れないように室内の気圧を低くした「陰圧室」で過ごす必要があるが、各病院の陰圧室には限りがある。同ドームを患者のベッドに取り付け、陰圧室のような状態にして医療従事者の感染を防止できる。

ベッドを不織布製のカバーで覆い、電動式の排気装置で気圧を低く保つ仕組みで、移動も可能だ。

原発の県専門委の在り方見直しへ 次期鹿児島県知事の塩田氏

2020/7/19 17:57 (JST)7/19 18:03 (JST)updated 共同通信 WEB

https___imgix-proxy.n8s.jp_DSXMZO4413596024042019000001-1.jpg鹿児島県知事選で初当選した元九州経済産業局長塩田康一氏(54)が、19日までに共同通信のインタビューに応じ、九州電力川内原発(薩摩川内市)の安全性を検証する県の専門委員会の在り方を就任後に見直す考えを示した。

1、2号機が2024年から相次いで40年の運転期限を迎えるのを前に、有識者を複数人交代させ、延長の是非に関する議論の活性化を目指す。

塩田氏は「徹底的な検証のため、原子力政策に批判的な人にも入ってもらう」と述べた。

エネルギー政策を担う経済産業省出身の経歴に触れ「経産省だから推進というわけではない。安全性確保が最優先だ」と強調した。

巨大津波の予見可能性など争点 原発被害訴訟の控訴審9月30日に判決

2020年07月17日金曜日 河北新報 WEB

hqdefault.jpg東京電力福島第1原発事故を巡り、福島県と宮城など隣県の住民約3650人が国と東電に空間放射線量の低減による原状回復と、回復まで1人当たり月5万円の慰謝料の支払いなどを求めた訴訟の控訴審で、仙台高裁は判決期日を9月30日に指定した。住民側弁護団が16日、明らかにした。

全国で約30ある同種訴訟のうち、国を相手に含む訴訟で初の高裁判決となる見通し。

 控訴審で、住民側は約2900人に計約5億円の賠償を命じた福島地裁判決が賠償の対象とした期間や地域の拡大を、国と東電側は地裁判決の取り消しをそれぞれ求め、今年2月に結審。高裁は判決期日を追って指定する方針を示していた。

 2017年10月の福島地裁判決は、政府機関が02年に公表した地震予測を根拠に巨大津波を予見できたとし、東電に対策を命じなかった国の違法性を認定。

原状回復の訴えを却下した一方、指針で対象外とされた一部地域の住民にも支払いを命じた。

国、東電と住民の双方が控訴した。

原発賠償負担金2.4兆円 大手電力、経産省に申請

2020/7/17 22:55 (JST)7/17 23:07 (JST)updated 共同通信 WEB

fukushima_hiyou4_sj.jpg沖縄電力を除く大手電力9社と日本原子力発電は17日、原発事故を想定した賠償費用の負担額計約2兆4千億円を経済産業省にそれぞれ申請した。

内訳は東京電力ホールディングス(HD)が約9千億円、関西電力は約6千億円などで、送電線の使用料から40年程度かけて回収する見通し。

経産省の承認を受けた後、電気料金への上乗せ額が確定する。

賠償費用を積み立てる制度は東京電力福島第1原発事故の後にできた。各社が申請したのは、福島原発事故以前に事故の賠償に備えておくため負担すべきだった金額となる。

汚染廃廃棄物の本焼却開始 大崎と宮城・涌谷、反対の住民抗議

2020年07月16日木曜日 河北新報 WEB

001_size4.jpg宮城県大崎市と大崎地域広域行政事務組合は15日、東京電力福島第1原発事故で発生した国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染廃棄物について、圏域の3カ所で本焼却を始めた。

各施設周辺では、焼却に反対して仙台地裁で住民訴訟を争う住民団体などが横断幕を掲げて抗議した。
 初日は大崎市古川、同市岩出山、宮城県涌谷町の焼却施設にそれぞれ1トン、0.5トン、1トンを運び入れ、家庭ごみと一緒に焼いた。各施設の焼却灰は16日、同市三本木の最終処分場で埋め立てる。

今後、汚染廃棄物の濃度別に1日当たりの最大処理量を調節し、それぞれ古川の施設は3.5トン、岩出山0.6トン、涌谷町2.17トンを上限とする。土日曜・祝日を除く平日に焼却し、灰は翌日以降に埋め立てる。

 11月から宮城県美里町と涌谷町が同様の焼却を始め、7年間かけて計3590トンを処理する予定。焼却処理する量としては同県内の圏域別で最多となる。