稼働原発、不安定さ 政府構想と乖離相次ぐ予定外の長期停止

11/4 0:05 共同通信配信佐賀新聞 WEB

img_a888b009feb817dc0471757d673adc0f540889.jpg関西電力大飯原発4号機(福井県)が3日、定期検査に入り、国内の稼働原発は11月下旬まで九州電力玄海4号機(東松浦郡玄海町)1基のみとなった。テロ対策施設の完成遅れなどで予定外の長期停止が相次いだためで、不安定な稼働状況は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける政府の構想とは大きく乖離かいりしている。

稼働原発がゼロとなった関電にとっての誤算は、定検中の大飯3号機で8月末に見つかった配管の損傷だ。関電は当初、このまま運転しても配管の健全性は保たれると主張し、計画通り翌9月中の運転再開を目指したが、事態を重く見た原子力規制委員会が詳細な説明を要求。

 関電は同じ材質で模型を作って配管の強度などについて説明を試みようとしたが、その手法の妥当性を巡って規制委側との議論に時間がかかる見通しとなったことから、一転して配管を切り出して交換すると表明した。

配管には放射性物質を含む1次冷却水が流れるため作業員の被ばく管理も必要となる。関電は来年1月までの工事完了を目指すが、規制委の更田豊志(ふけたとよし)委員長は「切断後は溶接もある。作業はそんなに簡単ではない」との見方を示し、運転再開の見通しは立たない。

 大飯3、4号機の他に新規制基準の下で再稼働した4原発7基のうち、関電高浜3、4号機(福井県)と九電川内1、2号機(鹿児島県)は、今年3~10月に設置期限を迎えたテロ対策施設を完成させられず停止中。

高浜では、2016年2月に再稼働した4号機が、3日後にトラブルで緊急停止したこともあった。同3月には大津地裁が3、4号機の運転差し止めの仮処分決定を出し、当時運転中だった3号機も停止に追い込まれた。2基の停止は大阪高裁が仮処分を取り消した17年まで続いた。

 四国電力伊方3号機(愛媛県)を巡っても、今年1月に広島高裁が差し止め決定を出し、四国電が異議申し立て中。決定が覆っても、テロ対策施設の完成が来年3月の期限を過ぎた同10月ごろとなる見通しで、運転できない状態は続く。

 政府はエネルギー基本計画で、30年度の総発電量に占める原発の割合を20~22%にするとの目標を示しているが、東京電力福島第1原発事故以降、低迷が続き、18年度は6・2%。計画見直しに向けて先月開かれた経済産業省の会合では、30年度の比率について「現実を見据えた下方修正が必要だ」との意見が出た。

 委員の橘川武郎(きっかわたけお)国際大教授(エネルギー産業論)は「30基が稼働率8割で動かないと20~22%にならない。20~25基が7割で動くと15%になるが、それでも甘い想定だ」と強調。50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの政府目標に向け、より積極的な原発推進への期待感も経済界や政府、与党内にあるが、橘川氏は「脱炭素の主要な手段は再生可能エネルギーで、原発は補完的な電源だ」と指摘する。