「核のごみ」最終処分場問題 北海道 寿都町 調査に応募へ

2020年10月8日 4時31分 NHK WEB

K10012653031_2010080056_2010080431_01_02.jpgいわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、北海道寿都町は、8日、選定の第1段階となる「文献調査」に応募することを決める見通しです。同じ北海道の神恵内村も近く応募を決めるとみられ、長年行き詰まっていた最終処分場の選定に向けたプロセスが動き出すことになります。

北海道寿都町は、原子力発電所の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場の選定をめぐり、ことし8月、選定の第1段階となる「文献調査」への応募の検討を明らかにしていました。

その後、町内各地で住民説明会を開いた結果、住民の理解は十分得られたなどとして、片岡春雄町長は8日に開かれる町議会の全員協議会のあと、応募することを決め、正式に表明する見通しです。

一方、同じく北海道の神恵内村でも、8日に村議会の本会議が開かれ、地元の商工会から提出されていた応募の検討を求める請願が採択される見込みです。

高橋昌幸村長は「議会の判断を尊重する」と繰り返し述べていることから、採択を受けて文献調査への応募を決断するとみられます。

応募した場合、国が調査対象になりうる地域を示した地図を公表して以降、初めての自治体となり、長年行き詰まっていた最終処分場の選定に向けたプロセスが動き出すことになります。

寿都町 町の過疎化が進む

北海道寿都町は北海道の西部、日本海に面した町で、人口はことし3月末時点でおよそ2900人の小さな町です。

過疎化が進み、人口は10年前に比べておよそ15%減少しています。

産業の柱は漁業と水産加工業で、かつてはニシン漁で栄えましたが、このところ水揚げ量は減少し不振が続いています。

このため、強い風が吹く特徴を生かして、町営の風力発電所を建設し、現在では合わせて11基の風車が稼働しています。

電気の販売で得られる収入は町の貴重な財源となっています。

最終処分場の選定をめぐって、寿都町が調査への応募を検討していることが明らかになったのは、ことし8月13日でした。

片岡春雄町長は、NHKの取材に対し「必ず10年先、町の財政は厳しくなる」と話し、応募に伴って国から交付金を得られることが検討の理由の1つだと明かしたうえで、9月中旬にも応募するかどうか判断する考えを示しました。

突然の検討の表明に、町の内外に波紋が広がりました。

隣接する3つの町と村の町村長が慎重に検討するよう申し入れを行ったほか、ほかの地域の町村長や北海道内の漁協の代表者たちからも続々と反対の声が上がりました。

また、鈴木知事は「ほおを札束ではたくようなやり方で手を挙げさせるのはどうなのか」と述べ、国の対応に疑問を呈したうえで「高レベル放射性廃棄物は受け入れがたい」とする道の条例とは相いれないとして、慎重な検討を求めました。

こうした動きを受けて、片岡町長は丁寧な説明が必要だとして、9月中旬としていた判断の時期をいったん先送りし、住民説明会を開くことにしました。

しかし、町内の各地区で開いた説明会の場でも、住民からの反対の声はやみませんでした。

さらに片岡町長が、8月の町議会の会合で「町民に伺いを立てたらかえって面倒になる」などとして、当初は8月中に調査への応募を決める方針を示していたことがNHKが入手した議事録で明らかとなり、批判の声はさらに強まりました。

それでも片岡町長は「賛成の声も多く届いている」として、あくまで応募を目指す姿勢を崩しませんでした。

そして、先月29日の国の担当者を招いた説明会のあと「長時間議論しても反対する人たちとの溝は埋まらない」として、説明にいったん区切りをつけて、8日に開かれる町議会の全員協議会のあとに応募の判断を明らかにする考えを示していました。

神恵内村 人口が道内で2番目に少ない自治体

北海道神恵内村は、札幌市の北西にある積丹半島の西側に位置しています。

海と山に囲まれ、漁業が基幹産業です。

人口はおよそ820人と北海道内で2番目に少ない自治体です。

隣接する泊村には、北海道電力泊原子力発電所があり村のほぼ全域がその30キロ圏内に入っています。

神恵内村での応募の動きは、地元の商工会が村議会に請願を提出したことから具体的に始まりました。

先月7日に神恵内村商工会が臨時総会を開き、関連産業を誘致することで地域に雇用を創出するとして、村に応募を検討するよう求めることを決め、翌日の8日、村議会に請願を提出しました。

これを受けて、村議会は16日に委員会を開きましたが、この場では住民の理解が十分進んでいないとして継続審査となりました。

このため、村議会では経済産業省とNUMO=原子力発電環境整備機構に住民説明会の開催を要請。

先月26日から5日間にわたって村内各地で住民説明会が開かれ、延べ270人余りが参加しました。

一連の住民説明会では、一部で反対する意見が出たものの応募に理解を示す発言が相次ぎました。

こうした結果を踏まえて、今月2日になって再び村議会の委員会が開かれ、請願は賛成多数で採択されました。

8日の本会議でも採択されることが確実な情勢です。

この間、高橋昌幸村長は「村議会が結論を出すまでは答えられない」として、応募するかどうかについては明言を避けてきました。

一方で、「村議会の判断を尊重する」と繰り返し述べていることから、村議会での最終判断と言える本会議での採決を受けて応募を決断するとみられます。

請願の提出からこの間、わずか1か月でした。