汚染水 打開策なく 福島第一港湾内

2013年7月30日 東京新聞 朝刊 WEB

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東京電力福島第一原発で海洋汚染が拡大する恐れが高まっている問題で、汚染源とみられるトレンチ(地下のトンネル)の構造や問題点が見えてきた。ただ、高濃度汚染水がどこにたまっているかなど状況が分かるほどに、あらためて問題の深刻さが浮かび上がる。この問題を打開しなければ、事故収束の道筋は見えてこない。 (小野沢健太)

 東電は「海への拡散は限定的」としきりに強調するが、福島第一の専用港内の海水データをみると、ストロンチウムなどの汚染は、ほぼ全ての場所で法令で放出が認められる濃度限度を超えた。取水口近くでは十倍以上の濃度。湾内は除染や覆土などの対策を講じても、かなりの汚染度だ。
 汚染源と確実視されるのは、タービン建屋から地下に縦横無尽に延びるトレンチ。海水をくみ上げる配管や、ポンプを制御するケーブルなどが収められている。事故発生当初の二〇一一年四月に高濃度汚染水が漏れた際も主な漏出源で、取水口近くは薬剤(水ガラス)やコンクリートで止水対策が済んだとされていた。しかし、トレンチ内の汚染水そのものは放置されてきた。

 二年前に漏れたのは約五百二十トンとされるが、トレンチ内には高濃度汚染水がその二十倍以上の約一万千トンはあるとみられる。

 二十七日には、東電が汚染水はたまっていないとしていた浅いトレンチでも、一リットル当たり二三億五〇〇〇万ベクレルの放射性セシウムを含む高濃度汚染水が確認された。トレンチの汚染水量は、増えることが懸念される。

 さらに事態を難しくしているのは、建屋地下からもケーブルのすき間などから汚染水がトレンチに流れ込んでいる恐れが高いこと。東電はトレンチの汚染水をくみ出して建屋に戻すことも検討しているが、こんな状況では解決にならない。

 原子力規制委員会事務局が二十九日に示した分析では、浅いトレンチの砕石層は海抜二・五メートル以下の高さで、そこには地下水が達し、汚染水が拡散したり漏出したりする危険性が高い。

 規制委は、地下水や地層の専門家らでワーキンググループをつくり、汚染水問題に取り組むという。しかし、再度の海洋汚染が確定的になってから。対応の遅れは否めない。


福島第一の地下水汚染、拡散調査へ…規制委指示

2013年7月29日13時26分 読売新聞 WEB

画像東京電力福島第一原子力発電所の地下水汚染問題で、原子力規制委員会は29日、汚染の広がりを把握するため、地下水の汚染度調査に加え、新たにボーリング調査も行うよう東電に指示した。同日開かれた同原発の監視・評価検討会で求めた。

 2号機タービン建屋東側の地下水汚染は、地中の電源ケーブル用トンネル内にたまった高濃度汚染水が原因と考えられている。東電はこれまで、複数の井戸を掘り、地下水の放射性物質濃度を調べてきたが、汚染水の流出経路や拡散状況は分かっていない。規制委は、汚染水がトンネル下の砕石層に漏れ出し、地下水と接している場所で拡散しているとみている。

 規制委は今後、地下水汚染の状況を分析するための作業部会を、同検討会のもとに設置。さらに、海へ漏れ出した放射性物質の影響を監視するための新たな検討会をつくる。

地下水汚染源特定へ新たな井戸…福島第一原発

2013年7月28日14時25分 読売新聞 WEB

画像東京電力は、福島第一原子力発電所の地下水の汚染源を特定するため、1リットルあたり23億ベクレルの放射性セシウムを含む高濃度汚染水が確認された電源ケーブル用トンネルの近くに、新たな井戸を掘ることを決めた。

 トンネルは、2号機のタービン建屋から海側へ延びる。27日に高濃度汚染水が確認された場所は、建屋に近い部分。その近くの井戸では最近、地下水から高濃度の放射性物質が検出されている。

 東電はトンネルの継ぎ目などから汚染水が徐々に染みだし、その下の砕石層を通じて拡散している可能性があると推定している。

 一方、これより海に近い井戸では、さらに高濃度の地下水汚染が観測されている。そのそばにあるトンネルの出口付近では2011年4月、同36億ベクレルのセシウムを含む汚染水が地中や海に漏れたことがあり、それが時間をかけて拡散したものと考えられている。

福島第1原発:敷地海側トレンチの水 23億ベクレル

2013年07月27日 11時39分(最終更新 07月27日 17時26分)毎日新聞 WEB

画像福島第1原発の敷地内から海へ放射性物質を含む地下水が流出している問題で、東京電力は27日、汚染水の漏えい源とみられる敷地海側のトレンチ(地下の配管用トンネル)にたまっている水から、1リットル当たり23億5000万ベクレルの高濃度で放射性セシウムを検出したと発表した。

 同原発2号機で原発事故直後の2011年4月に、取水口付近などで高濃度汚染水が漏れ、その際1リットル当たり36億ベクレルの放射性セシウムが検出されている。トレンチには、その際の汚染水が滞留しており、海への漏えい源の疑いがあるため、東電が調査した。

 東電はトレンチ内の汚染水について、9月から放射性物質の濃度を下げる浄化作業を始める予定としている。

 放射性セシウムの内訳は、放射性物質の量が半分になる「半減期」が約2年のセシウム134が1リットル当たり7億5000万ベクレル、約30年のセシウム137が同16億ベクレルだった。またストロンチウムなどが出す放射線の一種のベータ線測定から算出した放射性物質は、同7億5000万ベクレルだった。【野田武】

海汚染 再度拡大の恐れ 福島第一 複雑なトンネル構造

2013年7月26日 東京新聞 朝刊 WEB

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東京電力福島第一原発で、再び海洋汚染が拡大する恐れが高まっている。汚染源は地下トレンチ(トンネル)とその周辺とみられるが、地中深くで複雑に入り組んでいる。東電の資料を基に、地下の様子を立体図に再現すると、あちこちに漏出の危険性が潜む状況が浮かんでくる。

 問題のトレンチは、海水をくみ上げ原発の熱を海に逃がす海水ポンプに送電するケーブルや、海水をタービン建屋に引き込む配管を収めるために設けられた。重要な施設だが、二〇一一年四、五月に高濃度汚染水が海に漏れた。それから二年余。再びリスクの主役になってきた。


 何より問題なのは、建屋の地下だけで七万五千トンにのぼる高濃度汚染水がトレンチに流れ込んでいることだ。トレンチはもともと水をためる施設ではなく、トレンチ同士の継ぎ目などから汚染水が漏れ出す恐れがある。


 建屋とトレンチの継ぎ目も弱点で、止水されているとはいえ、どうしても構造的に弱い。大震災の影響などですき間ができ、建屋から直接漏れ出している可能性が高い。


 地中に漏れ出した汚染水は、トレンチ下部に敷かれた砕石の層を通って拡散。石のすき間が水の通り道となっているとされる。


 さらに、最近のデータでは、潮の満ち引きにつられ、海近くの地下水位が変動していることも判明。コンクリート製の護岸であっても、汚染水がどこかから抜け、海に漏れる可能性を示している。


 対策を進める上で厳しいのは、トレンチが地下数メートルから三十メートル近い深さまで各所をめぐり、どんな状態なのか東電も把握できていない点だ。一部のトレンチでは水が動かないよう内部をセメントで埋めたが、ほとんどの場所は手つかず。東電は、一部の護岸前に地中壁をつくって汚染の拡大を防ごうとしているが、とても足りそうにない。 (清水祐樹)

日本どこへ:安倍大勝  エネルギー・原発 再稼働関与が焦点

2013年07月26日 毎日新聞 東京朝刊 WEB

画像◇地元説得、壁高く

 「政府の中で具体的な動きがない。このままでは手詰まりだ」。与党圧勝となった参院選から2日後の23日、東京電力本店(東京都千代田区)。集まった取締役の間に失望と焦りが広がった。出席者の一人は「今の段階では(原発再稼働の)地元理解を得るため我々だけで努力するしかない。原子力規制委員会の安全審査を通過できれば、政権が関与を強めてくれる」と期待をつなぐ。

 エネルギー政策で政権の第一の課題となるのは、原発再稼働にどう取り組むかだ。なかでも東電が経営再建の切り札に位置づける柏崎刈羽原発は、地元新潟県の泉田裕彦知事の猛反発に遭い、規制委による審査の申請すらできない状態だ。自民党が参院選の公約で「安全性が確認された原発は再稼働させる」と掲げたことから、東電内には「政府はねじれ解消の勢いで、仲裁に動いてくれる」との見方があった。だが、ふたを開けてみると政府は静観のまま。東電の淡い期待は、ひとまず先送りになった。

 安倍政権はアベノミクスによる経済再建を最優先課題に掲げる。ただ、原発停止が続けば、火力発電の燃料コストがかさんで電力各社は電気料金の再値上げに動き、回復途上の景気を冷え込ませる懸念もある。東電柏崎刈羽に限らず再稼働を急ぎたいのが本音だ。
 しかし、福島第1原発事故を境に、原発の「安全神話」は「事故の不安」に一変。電力役員も「地元で原発を推進してくれた人々でさえ、もろ手で賛成してはくれない」と話す。参院選で圧勝した安倍政権にとっても原発再稼働が難題であることに変わりはなく、「原発政策や東電問題は後回し」(大手銀行幹部)との観測も出る。

 手をこまぬいてはいられない事情もある。政府は福島事故の賠償や除染、廃炉など10兆円超ともされる費用を、実質国有化した東電の将来の利益で賄う計画だからだ。収益シナリオが狂い東電が経営破綻する事態になれば、これらの費用を税金で補わなければならず、国民負担につながる。政府が膠着(こうちゃく)した状況の転機と見込むのは、規制委による厳しい安全審査の可否だ。経済産業省幹部は「審査をパスすれば、安全面の信頼につながり、地元経済へのメリットも実感される」と期待する。

福島第一の廃炉費、電気料金に上乗せへ 経産省方針

2013年7月24日11時15分 朝日新聞 WEB

画像経済産業省は23日、東京電力福島第一原発1~4号機の廃炉にかかる費用の一部について、電気料金への上乗せを認める方針を明らかにした。廃炉作業を進めるために新たにつくる施設の建設費を対象にする。

 経産省は原発の廃炉をめぐる会計の見直しを進めている。この日開いた専門家らによる検討部会に新制度の骨子案を示し、福島第一原発の廃炉費用に関する方針についても盛り込んだ。検討部会は骨子案をもとに8月中に報告をまとめ、年内にも省令を改正する。

 今の制度のままで廃炉を決めると、40年かけて積み立てている廃炉費用の不足分や、原発の資産価値がゼロになる分を、一度に特別損失として処理しなければならない。電気料金でもまかなえず、電力会社が廃炉をためらう一因とされる。

放射性物質汚染地下水、東電が海への流出認める

2013年7月22日21時15分 読売新聞 WEB

画像東京電力は22日、福島第一原子力発電所の汚染水が地下水を通じて海へ流出しているとの見解を発表した。

 5月以降、岸壁に近い井戸の地下水から高濃度の放射性物質が検出され、近くの海水に含まれる放射性物質の濃度も上昇したため、原子力規制委員会が「海への流出が強く疑われる」と指摘したが、東電は海への流出を認めていなかった。港湾外への影響はないと説明している。

 海水の汚染は、1号機の取水口に近い場所で、放射性物質の三重水素(トリチウム)が今月、1リットルあたり2300ベクレル(法定許容限度は同6万ベクレル)に達した。その現場に近い1、2号機タービン建屋の東側の井戸では、トリチウムが地下水1リットルあたり63万ベクレル検出されている。東電はこれまで「海への流出を示すデータがない」と説明してきた。
 しかし、井戸の地下水位が潮の満ち引きと連動して上下しており、東電は22日、「汚染水を含む地下水と海水が行き来している」と分析、流出を認めた。取水口付近は防波堤や水中カーテンで囲われており、汚染はその内側にとどまるとみている。また、海への流出の総量は検討中としている。

福島第1原発:東電、汚染水の海流出対策で「遮水層」工事

2013年07月22日 23時49分(最終更新 07月23日 00時32分)毎日新聞 WEB

画像東電は22日、福島第1原発のタービン建屋東側周辺で、汚染水の海への流出を防ぐために、沿岸部に幅約60メートルの「遮水層」を設ける工事の状況を報道陣に公開した。汚染水の海洋流出問題について問われた小野明・福島第1原発所長は「海と地下水の水位の間に相関関係があることが分かったが、どのくらいの水が行き来しているのかはつかめない」と話した。地下水バイパス計画への影響は「おそらくないだろう」との見解を示した。

 公開したのは8日に始めた工事で、1日2交代で延べ20人の技術者が海に沿って直径1メートル、深さ16メートルの穴を約230本掘り、固化する薬剤を注入する。工程の半分ほどを終えており、東電の工事担当者は「遮水層により汚染された地下水の海への流出を100%止めるとは言い切れないが、ほぼ遮断できる」と説明した。【藤原章生】

脱原発候補 見極める 草の根運動 活発

2013年7月20日 東京新聞 朝刊 WEB

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日本の原発政策はどこへ向かうのか、その岐路となる参院選。報道各社の情勢分析で、原発の再稼働や輸出を進める自民党の優勢が伝えられる中、脱原発を願う市民からは候補者の脱原発にかける「本気度」を調べたり、資金面などで支えたりする草の根の動きが起きている。 (宮尾幹成)


 生活の党、みどりの風、社民党は三月に「脱原発基本法案」を参院に共同提出した。原発推進の国策を百八十度転換し、遅くとも二〇二五年までに原発ゼロを実現するとの内容だ。


 法案提出を後押ししたのは、ノーベル賞作家の大江健三郎氏らが呼び掛けた市民グループ「脱原発法制定全国ネットワーク」。同じく脱原発を打ち出す民主党やみんなの党は、目標時期などで意見が合わず、共同提出に加わらなかったが、両党や無所属の一部議員が「賛同」の署名をした。


 全国ネットワークは、投票先を選ぶ判断材料にしてもらおうと、参院選の全候補者に法案への賛否を尋ねた。十九日現在、選挙区二十五人、比例代表二十六人が賛意を示している。海渡雄一事務局長は「脱原発を一刻も早く実現してくれる政治家を参院に送り込もう」と訴える。


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 別の市民グループは四月、脱原発政治連盟(略称・緑茶会)を設立。所属政党にかかわらず、脱原発に向けた政策協定を結んだ候補者を推薦し、寄付で集めた選挙資金や、脱原発に賛同する有権者の名簿を提供してきた。十九日現在、選挙区と比例代表で計三十六人を推薦している。


 全有権者に「脱原発候補」の選択肢を示すため、推薦候補のいない選挙区では「支持」「支援」の形で緩やかに応援する候補を決めた。名簿は緑茶会のホームページ=「緑茶会」で検索=を参照。


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 共産党は原発ゼロを公約するが、脱原発基本法案については「即時ゼロ」を目指す立場から賛同していない。全国ネットワークは「選挙が終わったら共産党を呼んで討論したい」としている。


 緑茶会も共産党候補に推薦を申し出た。だが「一団体と政策協定を結んだ前例がない」と辞退したため、支持にとどめている。


 ◆脱原発基本法案に賛同する参院選候補者(十九日現在)


 【選挙区】▽民主 松浦大悟(秋田)岡崎トミ子(宮城)武内則男(高知)松野信夫(熊本)▽みんな 行田邦子(埼玉)米長晴信(山梨)▽生活 平山幸司(青森)関根敏伸(岩手)太田和美(千葉)森裕子(新潟)佐藤公治(広島)▽社民 遠藤陽子(福島)川上康正(埼玉)木村栄子(神奈川)渡辺英明(新潟)伊藤善規(愛知)▽みどり 舟山康江(山形)露木順一(神奈川)丸子安子(東京)平山誠(愛知)亀井亜紀子(島根)▽沖縄社会大衆党 糸数慶子(沖縄)▽緑の党 松本なみほ(兵庫)▽無所属 大河原雅子(東京)藤島利久(大阪)


 【比例代表】▽民主 相原久美子、神本美恵子、ツルネン・マルテイ▽みんな 川田龍平▽生活 広野允士、はたともこ、藤原良信、山岡賢次、東祥三、三宅雪子▽社民 又市征治、矢野敦子、鴨桃代、山城博治▽みどり 谷岡郁子、井戸川克隆、山田正彦▽緑の党 大野拓夫、尾形慶子、木田節子、木村雄一、島崎直美、須黒奈緒、田口まゆ、長谷川羽衣子、三宅洋平

原発マネーで自然エネPR 佐賀・玄海町に施設オープン

2013年7月21日3時12分 朝日新聞 WEB

画像【石田一光、土屋亮】九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町が15億円余りをかけて建設した「町次世代エネルギーパーク」が20日オープンした。自然エネルギーをPRし、原発の負のイメージをやわらげるのが狙いだが、主な財源は町への原発マネー。九電も建設に密接に関わるが費用は明かさない。原発容認が大勢を占める町議会からも税金の無駄遣いを指摘する声が上がる。

 次世代エネルギーパークは、原発をPRする九電の施設「玄海エネルギーパーク」のそばにある。鉄筋コンクリート4階建ての建物に太陽光や風力などの自然エネルギー体験施設などが、横に太陽電池と燃料電池を載せた電動ゴーカートのコースなどがある。野外コンサート場やバーベキュー広場などもある。

 敷地面積計約3万4千平方メートルの3分の1が町有地、残りの公園部分などは九電の土地。町と九電がそれぞれ整備したが、施設全体としては両者が一体となって造った形になる

甲状腺被曝、公表の10倍 福島第一作業員、半数未受診

2013年7月19日5時43分 朝日新聞 WEB

画像 【大岩ゆり】東京電力福島第一原発事故で、がんが増えるとされる100ミリシーベルト以上の甲状腺被曝(ひばく)をした作業員が、推計も含め2千人いたことが分かった。対象を広げ詳しく調べ直したことで、昨年12月の公表人数より10倍以上増えた。東電は、大半の人に甲状腺の異常を調べる検査対象となったことを通知したというが、受検者は半数程度にとどまるとみられる。

 作業員の内部被曝の大部分は事故直後の甲状腺被曝だ。だが、厚生労働省も東電も、全身の線量だけで作業員の健康を管理しており、甲状腺被曝の実態把握が遅れている。国の規則が全身の被曝線量の管理しか求めていないためだ。

 東電は昨年12月、一部の作業員の甲状腺被曝線量を初めて公表した。世界保健機関(WHO)に報告していた、実測値のある522人のデータで、100ミリシーベルト以上の人は178人、最高は1万1800ミリシーベルトとしていた。

 東電はこれをきっかけに、対象を広げ、甲状腺の線量をきちんと実測しなかった作業員についても、推計した。さらに今年に入り、東電からデータの提供を受けた国連科学委員会が、作業員の甲状腺被曝線量の信頼性を疑問視していることが判明。厚労省も、東電と関連企業に内部被曝線量の見直しを指示した。

 実測値を再評価したほか、体内に入った放射性ヨウ素の量がはっきりしない場合、セシウムの摂取量をもとに、作業日の大気中のヨウ素とセシウムの比率などから推計した。この結果、100ミリシーベルトを超えた作業員は1973人と分かった。中には、線量見直しで甲状腺被曝が1千ミリ以上増えた人もいた。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の経験などから、甲状腺に100ミリ以上の被曝をすると、がんのリスクが高まると考えられている。従来は、40歳以上はがんが増えにくいとされていたが、最近は40歳以上でもリスクが増えるとの報告も出ている。

 東電広報部は「甲状腺被曝線量が100ミリを超えていた作業員全員に対し、東電の負担で生涯、年1回の甲状腺の超音波検査を行う。検査対象者にはすでに通知した」としている。検査を受けた作業員の割合は確認中というが、関係者によると、甲状腺検査を受けた作業員は半数程度にとどまっている。

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 〈甲状腺被曝(ひばく)〉 主に吸入などで体内に入った放射性ヨウ素による内部被曝。100ミリシーベルト以上被曝するとがんが増えるとされるが、チェルノブイリ原発事故では50ミリシーベルト以上でがんが増えたとの報告もあり、予防目的で甲状腺被曝の防護剤を飲む国際基準は50ミリシーベルトだ。

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▽作業員の健康相談窓口

 東京電力は、作業員のための、福島第一原発事故の被曝による甲状腺をはじめとするがん検診や、健康不安に関する相談窓口を設けている。

 原子力・立地業務部 健康相談窓口(電話:03-6373-1111。受け付けは平日の就業時間帯)

雨水温められ?福島第一3号機建屋に「湯気」

2013年7月18日23時42分 読売新聞 WEB

画像東京電力は18日、福島第一原子力発電所3号機の建屋5階(最上階)から、湯気のようなものが出ていると発表した。

 湯気は雨水が蒸発したものとみられるが、原因は断定できず、東電は引き続き調査している。

 東電によると、18日午前8時20分頃、監視カメラで確認した。周辺の放射線量に、大きな変化はないという。東電は、原子炉格納容器の蓋の上にたまった雨水が温められ、空気との温度差で「水蒸気が立ち上った可能性が高い」としている。3号機ではがれきの撤去が行われているが、この影響で作業は中断している。

福島第一原発近くの港湾、放射性物質が高濃度に

2013年7月16日23時22分 読売新聞 WEB

画像東京電力は16日、福島第一原子力発電所3号機近くの港湾で、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が海水1リットルあたり1000ベクレル検出されたと発表した。


 海水では、昨年12月に検出した同790ベクレルが、事故直後を除く最高値だった。現場は、放射性物質が周辺海域へ拡散するのを防ぐネット(水中カーテン)の内側。8日の測定では同72ベクレルだった。放射性セシウムの濃度も8日の40~50倍に上がった。

 東電は「変動の範囲内の数値」とみているが東京海洋大の神田穣太教授(化学海洋学)は「新たに放射性物質が陸側から漏れた可能性がある」と指摘。「濃度の変動が激しいので注視が必要だ」と話している。

5原発の安全審査始まる 再稼働、半年程度かけ結論

2013年7月16日13時44分 朝日新聞 WEB

画像 【西川迅】原子力規制委員会は16日、原発の再稼働に向けて申請のあった電力4社の5原発10基について、新規制基準への適合を確認する安全審査の初会合を開いた。結論を出すには半年程度かかるとみられ、原発の再稼働は早くても今冬になる見通し。
特集:全国の原発の現状
 審査が始まったのは、北海道電力泊1~3号機、関西電力高浜3、4号機(福井県)、大飯3、4号機(同)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)。このうち大飯3、4号機は敷地内の断層が調査中のため作業を進めないほか、泊1、2号機は北海道電力が3号機を優先するよう希望しているため後回しになる見込みだ。

 再稼働するには新基準への適合を規制委が審査して合格することが前提条件となる。この日午前の会合では、九州電力の担当者が川内1、2号機について、津波への安全性を説明するなどした。

 審査には、規制庁の職員らが計80人態勢であたる。三つのチームが各2~3原発を同時並行で担当し、地震・津波が専門のチームも一つ設ける。12日に申請があった九州電力玄海3、4号機については今回の会合に準備が間に合わず、近く審査を始める。

政策は「原発」「憲法」 参院選候補者のネット発信

2013.7.15 08:59 産経新聞 WEB

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野党積極的 自民は演説告知中心

 インターネットを使った選挙運動が初めて解禁された参院選で、候補者の発信状況を調べたところ、政策よりも演説日時の告知などに利用する傾向にあることがわかった。政策では原発が最も多く、憲法、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が続いた。ネット選挙解禁の目的として「有権者を交えた政策論争の高まり」があったが、実態との落差がみられる。


 産経新聞ではホットリンク社のネット分析ツール「クチコミ@係長」を使い公示日の4日から13日まで候補者のツイッターやフェイスブック(FB)、ブログの利用状況を調べた。

 候補者が取り上げている内容をみると、演説会の告知や自らへの投票、支援を求める言葉が目立った。

 政策に関しては原発(1666件)、憲法(734件)、TPP(678件)の順だった。原発と比べると復興(264件)や被災地(141件)は少ない。拉致(52件)や尖閣(47件)など外交・安全保障問題もそれほど取り上げられていない。

2913年 参議院選挙 自民VS「原発ゼロ」

2013年7月12日 読売新聞 WEB

画像エネルギー政策、議論深まらず

 東京電力福島第一原子力発電所事故を教訓とした原発の新しい規制基準が8日、施行された。

 原発再稼働に向けた具体的な手続きが始まったことを受け、主要9党の党首は、9日はTBS、10日はテレビ朝日の番組に出演し、論戦を繰り広げた。

 「私たちには、低廉で安定的なエネルギーを供給していく責任がある。原子力規制委員会が基準に合うと判断したところについては、地元の皆様の同意を得る努力をしながら、再稼働をしていきたい」

 安倍首相はこう述べ、再稼働に向けた決意を強調した。

 安倍を除く8党首は、「原発ゼロ」を求める立場で一致。民主党の海江田代表は、再稼働について「一切やってはいけないという考え方ではないが、地元自治体の意見を聞いて慎重のうえにも慎重にやってください」と注文を付けた。共産党の志位委員長は「15万人が避難生活を強いられている中で、再稼働は論外だ」と主張した。安倍は「責任ある立場としては、今、ゼロということを申し上げることはできない」と譲らなかった。

 今回の参院選で、原発・エネルギー政策を巡る議論が深まっているとは言い難い。安倍は10日、全国最多の商業用原発13基が立地し、国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発3、4号機を抱える福井県を訪れたが、演説で原発に触れることはなかった。東電柏崎刈羽原発のある新潟県で10日に演説した民主党の野田前首相も、再稼働問題への言及を避けた。

 昨年の衆院選では、再稼働反対を訴えた政党は伸び悩んだ。新規制基準が施行されたことを受け、北海道、関西、四国、九州の電力4社は8日、再稼働に向けた安全審査を一斉に申請し、手続きを開始した。

 日本経済の再生には、電力の安定供給が不可欠だ。各党には、原発再稼働に対する論戦を通じ、現実的なエネルギー政策の提示が求められている。

南側井戸で高濃度検出、汚染拡大…福島第一原発

2013年7月12日22時20分 読売新聞 WEB

画像東京電力は12日、福島第一原子力発電所3、4号機近くの井戸水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質を1リットルあたり1400ベクレル検出したと発表。

 「3号機近くの配管用トンネルからも汚染水が土壌に漏れ出した可能性がある」との見方を示した。

 一連の地下水汚染は、1、2号機周辺の井戸で、法定許容限度(1リットルあたり6万ベクレル)を超える三重水素(トリチウム)などが検出されたのが発端。東電は当初、2号機近くの配管用トンネルを汚染源だと推定した。しかし、今回の井戸はこのトンネルから南に約200メートルも離れており、推定への疑問が強まってきた。

 二つのトンネルからは一昨年、高濃度汚染水が海に流出した。トンネルの汚染水は、周辺土壌へも染み込んだ可能性がある。

 原子力規制委員会は、原子炉建屋などからも汚染水が漏れている可能性を指摘している。

福島第一3号機付近で限度の100万倍セシウム

2013年7月11日23時20分 読売新聞 WEB

画像東京電力は11日、福島第一原子力発電所3号機タービン建屋近くにある深さ約30メートルの立て坑内の汚染水を調べたところ、国が定めた許容限度の約100万倍にあたる放射性セシウム137を検出したと発表した。


 港湾付近の井戸から放射性物質が検出されている問題で、原子力規制委員会は、立て坑の汚染水の漏えいを原因の一つではないかと考えており、汚染水を早急に抜き取るよう指示している。

 調査は10日に行われ、水深1メートルの場所で、セシウム137が1リットル当たり1億ベクレルだった。6月までに調査が行われた2、4号機の立て坑内の濃度と比べ、10~1000倍高い。

 また、東電は海から約25メートルの井戸で7日に採取した地下水から、ストロンチウム90が同1200ベクレル検出されたと発表した。

規制委「汚染水、海洋拡散疑い」 第1原発の放射性物質

2013年7月10日 共同通信 WEB

画像東京電力福島第1原発敷地内の海側の観測用井戸で高濃度の放射性物質が検出された問題で、原子力規制委員会は10日の定例会合で、「高濃度の汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」との認識を示した。規制委は、事故直後の2011年4月に極めて高濃度の汚染水漏えいがあった2号機近くの作業用の穴が汚染源とする東京電力の説明に「疑問がある」と指摘。汚染源を早急に特定する必要があるとの見解で一致した。

田中俊一委員長は「具体的に原因を明確にし、最優先で対策を取る必要がある」と述べた。

福島第一原発の吉田昌郎元所長が死去 事故時に現場指揮

2013年7月9日20時38分 朝日新聞 WEB

画像 東京電力福島第一原発事故発生時の所長で、事故収束作業の陣頭指揮をとった吉田昌郎(よしだ・まさお)さんが9日午前11時32分、食道がんのため都内の病院で死去した。58歳だった。葬儀の日取りは未定。
吉田昌郎さんに関する記事はこちら
 2010年6月から所長を務めた。11年3月の東日本大震災で過酷事故が起きた後、免震重要棟に残り、9カ月間にわたり現場の作業員らを指揮した。テレビ電話を通じて本店との調整役も担った。

 事故対応では、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるためベント(排気)を指示した。

 東電上層部から原子炉を冷やす海水の注入停止を命じられたが、テレビ会議では中断したように見せかけ、独自の判断で注水を続行した。この行動は一部で英断と評価された。

 一方、政府の事故調査委員会の報告書は、福島第一で原子炉への注水に必要な事前の準備が不十分だったと指摘。原子力設備管理部長を務めていた08年には、大津波の試算結果を知りながら対策を取らなかったなどと批判した。

 大阪府出身。東工大大学院で原子核工学を専攻した。1979年4月の東電入社後は、福島第一、第二を含め、原子力部門で長く働いた。
 事故後に判明した食道がんの療養のため11年11月に入院し、福島第一原発所長を退いた。12年7月には脳出血で緊急手術を受け、自宅で療養していた。

 東電によると、吉田さんの原発事故後の被曝(ひばく)量は約70ミリシーベルトで、原発作業員の被曝限度である100ミリシーベルト(5年間)の範囲内。食道がんは発症まで5年以上かかるとされ、病気との関係はないとしている。

セシウム濃度さらに上昇 福島第一原発2号機の地下水

2013年7月10日1時46分 朝日新聞 WEB

画像東京電力は10日、福島第一原発2号機の海側の観測井戸で9日採取した地下水から、1リットルあたり3万3千ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。8日に採取した水に含まれていた量から約2割増えた。
 検出されたのは、事故直後の2011年4月に高濃度の汚染水が海に流出した2号機取水口の近くにある「1―2」の井戸。セシウムの内訳は、セシウム134が1万1千ベクレル、セシウム137が2万2千ベクレルだった。ストロンチウムなどの値は90万ベクレルで、8日の89万ベクレルからほぼ横ばいだった。

 東電は同じ井戸で5日に水を採取。セシウムの量は309ベクレルだったが、8日に採取したところ、約90倍の2万7千ベクレルに増えていた。

セシウム検出、コメ出荷弾力運用 13年産で政府

2013年7月 8日 共同通信 WEB

画像東京電力福島第1原発事故で放射性セシウムが検出されたコメ生産地の出荷制限を、政府が2013年産から弾力的に運用することが8日、分かった。従来は1カ所でも基準値を超えれば市町村単位などで出荷を止めるのが原則だったが、複数地点の検査で汚染の範囲を調べ、限定的な場合は制限を見送るよう改めた。

基準値を超えた12年産米は福島県の16農家と宮城県の1農家で見つかった。市町村単位で見ると、複数の農家から汚染米が見つかるケースは少なく、すぐに制限の網をかけるのは実態に合わないとの理由だ。

福島第1原発:高濃度汚染水検出 2号機、海側の井戸で最高の60万ベクレル

2013年07月08日 毎日新聞 東京朝刊 WEB

画像東京電力福島第1原発2号機付近の観測用井戸から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、東電は7日、海から約6メートルの井戸で5日に採取した水から、1リットルあたり60万ベクレルの放射性トリチウム(三重水素)を検出したと発表した。

海への放出基準の10倍にあたる。この井戸ではこれまでで最も高い濃度。東電によると、観測は昨年12月に始めた。東電は「2011年4月に海に漏れた高濃度汚染水の一部が地中に残留した影響とみられ、海に流出しているか確認中」としている。【奥山智己】

運転再開、6割が政府判断求める 7原発の73自治体

2013年7月 6日 共同通信 WEB

画像電力会社が原発の再稼働に向けた安全審査の早期申請を表明した7原発周辺の73自治体のうち、6割の44自治体が、運転再開には原子力規制委員会の審査終了後、地元の同意に加え、政府の責任で判断する必要性があると考えていることが6日、共同通信社のアンケートで分かった。再稼働について「認める」「今後認める」の回答は合わせて3割弱にとどまった。

原発の新規制基準が施行される8日以降、速やかな申請を目指すのは、北海道電力泊原発、東京電力柏崎刈羽、関西電力の大飯と高浜、四国電力伊方、九州電力の玄海、川内の7原発14基。

井戸から放射性物質90万ベクレル…事故後最高

2013年7月5日21時48分 読売新聞 WEB

画像東京電力福島第一原子力発電所の海側にある井戸の水から高濃度の放射性物質が見つかった問題で、東電は5日、2号機タービン建屋に近い、海から約25メートル離れた別の井戸の水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり90万ベクレル検出されたと発表した。


 事故後に検出された地下水や海水の汚染としては最も高い濃度。
 高濃度の放射性物質が新たに見つかった井戸は、2011年4月、高濃度の汚染水が海に漏れ出た地点から数メートルの場所にある。東電は、この時の汚染水が残っていた可能性が高いと説明している。

 同様の放射性物質は、今回の井戸の約30メートル北東にある井戸から今月1日に採取した水からも、1リットルあたり4300ベクレル検出されている。

福島・楢葉町の河原で不明の高放射能物質

2013-07-03 15:56 ハザードラボ

画像東京電力は2日、福島第一原発から約15キロ離れた福島県楢葉町の河原で高濃度の放射性物質に汚染された何かの破片らしき物質が発見されたと発表した。


 福島第一原発の事故に由来する汚染物質の可能性が高いとして、現在 詳しい調査を行っている。


 同発表によると、この物質は長さ約3センチ、幅約1.5センチの茶褐色の破片状のもので、環境省が震災がれきの処理作業を行っている最中にホットスポット(高放射線量の地点)を確認し、20日に採取されたもの。


 この物質が福島第一原発事故に起因したものである可能性を踏まえ、環境省が東電に分析を依頼している。


 この物質の表面のベータ線とガンマ線を合わせた線量は3400マイクロシーベルト/時


 発見されたのは避難指示解除準備区域内で、日中には人が立ち入ることもできる場所。

定期検査で新基準適合を 大飯原発、規制委員長

2013年7月 3日 共同通信 WEB

画像原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の運転継続を認めた判断について「新規制基準を百パーセント満たしているとは報告書にも書いていない」と述べ、9月に始まる次回の定期検査で、新基準に完全に適合させるよう求めた。関電は8日の新基準施行後、速やかに3、4号機の再稼働に向けた安全審査を申請する方針だが、田中氏は「実際の審査は、9月に運転が終わった後になるのではないか」との見方を示した。

柏崎刈羽原発 安全審査の申請決定

7月2日 15時12分 NHK WEB

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東京電力は、2日、取締役会を開き、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、できるだけ速やかに国に安全審査を申請することを正式に決めました。

電力会社が原子力発電所の運転を再開するためには、国の原子力規制委員会が今月8日から施行する新たな規制基準に適合することが義務づけられていて、すでに関西電力など4社が早期に安全審査を申請する方針を明らかにしています。

こうしたなか、東京電力は2日、取締役会を開き新潟県にある柏崎刈羽原発のうち、耐震強化策などが進んでいる6号機、7号機については、新たな規制基準が施行される8日以降、できるだけ速やかに安全審査を国に申請することを正式に決めました。

東京電力は、去年、電気料金の値上げに踏み切りましたが、原発の停止に伴い、火力発電用の燃料費が増えたため、巨額の赤字が続く厳しい経営状況となっています。

東京電力では、主力の柏崎刈羽原発の早期の運転再開によって、今年度の黒字化を目指したいとしています。
一方、柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田知事は、福島第一原発事故の検証ができない間は運転再開の議論はできないと繰り返し主張しています。
運転再開には地元の了解が必要なことから、東京電力では引き続き知事をはじめ地元への説明を続けていく方針です。.

新潟県知事「地元軽視だ」
新潟県の泉田知事は「事前に連絡はなく、こんな地元軽視はない」と強い不快感を示しました。
そのうえで、「東京電力は福島第一原発の事故の際のTV会議の状況をすべて公開していないなど、検証が不十分で事故の責任もとっていない。運転再開について議論を行う段階ではない」と東京電力の姿勢を改めて批判しました。
一方で、東京電力の廣瀬直己社長が直接、新潟県に説明に訪れたいとしていることについて、「断る理由はない」として調整する考えを示しました。


柏崎市長「地元に説明を」

柏崎市の会田市長は「新たな規制基準に沿って、原発の安全対策が十分なのかどうか確認したうえで、地元に対してきちんと説明してほしい」と述べました。
一方で、東京電力が今回の発表や柏崎刈羽原発で進めている安全対策の工事について、事前に説明していないことについて、「地元の了解を事前に得るという手続きをきちんと踏んでほしい」と求めました。


柏崎市民の反応

原発が立地する新潟県柏崎市の市民からは、運転の再開に反対する声が聞かれた一方で、地域経済を立て直すために評価する声も聞かれました。柏崎市の72歳の女性は「安全対策はまだ不十分だと思っています。東京電力は運転再開に向けて前のめりになっているのかもしれませんが、安全を第一に考えてほしいです」と話していました。
また、79歳の男性は「おととしの原発事故のこともあり、命の問題にも関わるので、再開には反対です」と話していました。
一方で、72歳の男性は「地域経済や雇用が落ち込んでいるので、できるだけ早く再開してほしい」と話していました。


「やむをえないこと」

経済同友会の長谷川代表幹事は、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向け、できるだけ速やかに国に安全審査を申請することを決めたことについて、「事業継続のために運転再開が認められなければ、東電が債務超過に陥ってしまう可能性もあり、やむをえないことだ。東電は企業として存続するために必要な判断をしており、原子力規制委員会は粛々と、また、迅速に調べ回答してもらうことを求めたい」と述べました。


国も理解得る努力を

茂木経済産業大臣は、訪問中のベトナムで「申請が出された段階で原子力規制委員会には厳正で速やかな審査を行っていただきたい。そのうえで安全性が確認されたら東京電力任せではなくて国としても前面に出て自治体などの理解を得るよう努力をしていきたい」と述べました。
また、東京電力の廣瀬社長が、柏崎刈羽原発の停止が続いた場合には料金を値上げする可能性を示唆したことについて、「まずは、いかに燃料の調達コストを抑えるかや経営効率化を図るかという努力を行ってほしい」と述べました。


なぜ再稼働か

新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発は、昭和60年に最初の原子炉が運転を開始しました。
現在、1号機から7号機まで7つの原子炉があり、合計の発電能力は821万2000キロワットと1か所の発電所の規模しては世界最大です。
東京電力は、主力の柏崎刈羽原発の運転停止に伴い、火力発電用の燃料費が増加し、去年には電気料金の値上げに踏み切りましたが、ことし3月期の決算でも6800億円以上の最終赤字を計上し、3期連続の赤字となっています。
東京電力の経営改善の具体策を盛り込んだ「総合特別事業計画」では、来年3月期の黒字化に向けて柏崎刈羽原発の早期の運転再開を業績改善の柱と位置づけていて、ことし4月以降、年内に4基の原発を順次、運転再開させることになっていました。
東京電力では、1基の運転再開で毎月100億円程度の燃料費の削減を見込んでいて、運転停止が続いていることが収益を悪化させているとしています。
来年3月期の黒字化は、政府から公的資金の投入を受けたり、銀行から融資を受けたりした際の前提にもなっていて、黒字化を達成するため、東京電力では柏崎刈羽原発の早期の運転再開に理解を求めています。


柏崎刈羽原発の新基準を巡る対策は

柏崎刈羽原発では、原発の新たな規制基準に基づいた安全対策として、設備の工事や地震や津波に備えた調査が進められていますが、東京電力が国の原子力規制委員会に申請をしても、審査で認められるかどうかは不透明です。

このうち、新基準では、東京電力福島第一原発の事故で現場対応の拠点となった「免震重要棟」が重要な役割を果たしたことを踏まえ、同じような地震や放射線に耐えられる、「緊急時対策所」を整備するよう求めています。
柏崎刈羽原発では、床面積がおよそ4000平方メートルの免震構造の設備が、3年前の平成22年1月にすでに完成していて、事故時にはおよそ630人が対応に当たることになっています。

また、新基準では、福島第一原発と同じ「沸騰水型」の原発に格納容器の圧力を放射性物質の放出を抑えながら下げる「フィルターベント」の設置を義務づけています。

沸騰水型の柏崎刈羽原発では、「フィルターベント」の工事が、7号機ではことし1月から6号機では先月下旬から始まっていて、いずれも年度内の完成を目指しています。
一方、柏崎刈羽原発では、津波対策の高さ15メートルの防潮堤や盛り土が先月まで完成しましたが、東京電力は、新基準で求められている、発生の可能性がある最大規模の津波の想定についてはどの程度の高さにするかを検討中だとしています。
さらに新基準では、原子炉の真下に活断層がないことを求めていますが、柏崎刈羽原発では、6号機と7号機を含む6基の原子炉建屋の直下に23本の断層があり、東京電力は、ことし4月、これらの断層について20万年前以降の活動はないとして、「活断層ではない」という調査結果をまとめています。

これに対し新基準では、断層について、これまでどおりの「12万から13万年前以降に活動したかどうか」で評価をし明確に判断できない場合には、「40万年前以降にさかのぼって」評価することが盛り込まれていて、東京電力が申請をしても、規制委員会の審査で認められるかどうかは不透明です。

第1原発、低レベル水の移送完了 全ての地下貯水槽が空に

2013年7月 1日 共同通信 WEB

画像福島第1原発の地下貯水槽から放射性物質に汚染された水が漏れた問題で、東京電力は1日、4号地下貯水槽に入っていた比較的汚染レベルの低い水の移送を完了したと発表した。汚染レベルが高い水の地上タンクへの移送は既に終了しており、敷地内に7カ所ある貯水槽全てが空になった。貯水槽から漏れた原因は依然、分かっていない。4号貯水槽には、津波で第1原発5、6号機の建屋地下に入り込んだ海水など約3千トンを保管していた。東電は「汚染がゼロではない」として、6月11日に4号貯水槽から6号機タービン建屋地下への移送を始めていた。最終的には、全量を地下から地上タンクに移し替える。

櫻井よしこ 美しき勁き国へ 国力殺ぐ原発新規制

2013.7.1 03:32 産経 WEB

画像原子力規制委員会の下で、日本の原子力事業が潰されていくのは国益に適(かな)わない。

 最も緻密かつ科学的議論が必要な原子力発電の分野で、いま、科学が軽視され、議論が尽くされず、思い込み先行で結論が導き出され、国力が殺(そ)がれていくかのようだ。

 原子力規制委員会のまとめた原発の安全性に関する新規制基準を見ての思いである。

 原発問題は日本のエネルギー戦略の根幹に関わる重要問題だ。日本以外の国々は、たとえば中国が将来230基を超す原発建設を計画するなど、諸国は近未来のエネルギー戦略として凄(すさ)まじい勢いで原発建設を予定している。

 日本こそ原発の安全性を高める技術を磨き、規制委員会による監視体制を確立し、バランスのとれた原発利用を推進しなければならない。使用済み核燃料の処理まで含めた原子力利用の全体戦略を構築し、安全技術を高め続けることが必要だ。

 だが現実は規制強化ばかりが先行中だ。前述の新規制基準は7月8日に施行されるが基本的な設計基準、原則40年に限った原発運転期間、炉心溶融など過酷事故への対策、地震・津波対策、活断層の有無の確認など、どれも非常に厳しい内容である。これでは、日本の全原発が2030年代に廃炉にされかねない。

 昨年末の衆院選で大勝した安倍晋三首相は、民主党の原発ゼロ政策の白紙撤回を表明した。しかし皮肉にも、ほとんどの国民から見放されて大敗した民主党の、とりわけ菅直人元首相の置き土産といってよい原発ゼロ政策が、自民党政権下で実現しようとしているのである。

 菅氏は、安倍首相の白紙撤回を次のように否定する。「そう簡単に(元に)戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」

 これは今年4月30日の「北海道新聞」で菅氏が語った言葉だ。氏は日本原電敦賀原発の活断層問題等を具体例としてあげた。

 新基準は活断層が露頭する敷地の上に原子力発電所を建設してはならないとしており、40万年の昔に遡(さかのぼ)って敷地を調べ、活断層の存在が明らかになれば、菅氏の指摘どおり、原発は廃炉になる。

 だが、40万年前の地層を明確に判断できるのか。ちょっと想像してみよう。現在地球に君臨している私たち人類は「新人(しんじん)」と呼ばれるが、私たちが一人のアフリカの女性を母として生まれたのが約20万年前である。日本列島に豊かな文化を残した縄文人が生きたのは、1万2千年から2400年前だ。

 縄文人どころか、新人が生まれるより遥(はる)か彼方(かなた)の太古の昔が40万年前である。果たしてそこまで遡って活断層の有無を調べる科学的正当性はあるのか。

                   ◇

 この点について広島大学大学院の奥村晃史教授ら少なからぬ専門家が疑問を呈している。ならば、規制委員会はまず、国民に対して、また事業者に対して、明確かつ合理的に説明する責任がある。

 規制委員会の田中俊一委員長以下、5名の委員は、民主党時代に選ばれ、後に自民党も賛成して、政府から独立した強い権限を有する三条委員会となった。その強大な権限ゆえに、5人の委員は専門家として、また良識の人として日本の未来に大きな責任を有している。

 現在、大きな焦点となっている活断層について、田中委員長は自ら判断するというより、島崎邦彦委員長代理の判断を重視し、島崎氏は主として中田高広島大学名誉教授、渡辺満久東洋大学教授、鈴木康弘名古屋大学教授ら、有識者の判断を重視するという構図が生じている。

 福井県にある関西電力の大飯原発3、4号機について、規制委員会は6月下旬、新規制基準の施行後も運転継続は可能とする結論を出した。その中で、敷地内の破砕帯が活断層かどうかは明らかにせず、運転継続を認めざるを得なかったのは、評価会合で意見を述べ合った2人の有識者、活断層だとする渡辺教授と、活断層ではないとする立命館大学の岡田篤正教授の意見が激しく食い違ったためである。つまり、科学的根拠は不十分で、活断層であることの証明はできなかったということであろう。

 一方、敦賀原発の敷地にあるのは活断層だと断定されたが、その評価会合では反対意見を持つ専門家らとのまともな議論は行われていない。専門家同士の闊達(かったつ)な議論がない中での判断が、果たして真に科学的、かつ公正だといえるのか、疑問である。

 敦賀原発に関して、同原発を保有する日本原電は、規制委員会側による活断層との断定に反論すべく詳細な調査資料を提出した。だが事業者側の資料はかえりみられなかった。日本原電は更に米、英、ニュージーランドなどの専門家らから成る2組の海外チームに委託したレビューを発表した。日本のメディアは余り伝えなかったが、同レビューは規制委員会の結論を疑問視し、少なくとも、更に詳しい調査をすべきだと指摘した。

 反対意見を無視した性急な活断層の決めつけや原発再稼働を認めないとの結論は、規制委員会や有識者による評価の公正さを疑わせる。菅氏の予言した原発全廃を目指すかのような原子力規制委員会、及びその傘下の人々の主張を厳しく検証しなければならないゆえんである。

 安倍首相の責任が、科学と合理に基づくバランスあるエネルギー政策の推進であるのは言うまでもない。