原発事故の避難先で成人式 福島 双葉町

2020年1月3日 19時23分 NHK WEB

9f2e1340b3fd8819cdea0b3938be6cc1_1.jpg原発事故による避難指示が続く、福島県双葉町の成人式が一足早く避難先のいわき市で行われ、事故当時小学生だった新成人たちが復興に向かうふるさとに貢献したいと思いを述べました。
福島第一原発が立地する双葉町は、事故から9年となるいまも全域で避難指示が続き、毎年、正月休みに行う成人式は、事故の3年後から町役場の避難先となったいわき市で行われています。

ことしは事故当時小学5年生だった29人がそれぞれの避難先などから出席し、久しぶりの再会を喜びあっていました。

町では、ことし3月、JR常磐線の運転が再開する双葉駅前など、初めて一部の避難指示解除が予定されています。

伊澤史朗町長は「ようやく帰還に向けた環境整備が目に見えるようになった。これからの町づくりには若い人材が必要なので、困難を乗り越えて成長した皆さんに関わりを持ち続けてほしい」と述べました。

新成人を代表して渡辺碩さんと服部真和さんは「避難先でも、ひとときも双葉町を忘れずに過ごしてきました。成人になったいまお世話になった町に貢献したい気持ちでいっぱいです」と述べました。

式のあと新成人たちは「自分の夢を追うだけでなく町の役にも立ちたいという思いを強くした」とか「将来は町の幼稚園に戻って働きたいので、いまは東京でしっかりと子どもと向き合って仕事の経験を積みたい」などと話していました。

「復興拠点」住みよく再生 避難指示、3町一部地域「解除」へ

2020年01月02日 08時00分 福島民友 WEB

200102news1-thumb-300xauto-41042.jpg東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年となる3月、双葉、大熊、富岡の3町で、JR常磐線の駅周辺など一部地域の避難指示が解除される。現在も唯一、全町避難が続く双葉町にとっては初めての解除。3町をはじめ、特定復興再生拠点区域(復興拠点)を整備する各町村は、地域再生に向けた歩みを進める。


【富岡】2023年春の復興拠点の避難指示解除を目指す富岡町は、拠点内の再生に向けた指針の策定を進める。健康増進施設整備を目玉事業に盛り込む方針で、新たなまちづくりに取り組む。また、一部区域の3月10日の先行解除も決まった。
 健康増進施設は原発事故に伴い運営を休止している町健康増進センター「リフレ富岡」を解体して新設、温泉や運動スペースを備える計画。リフレ富岡は鉄骨2階建てで、延べ床面積は約7000平方メートルだが、新施設は建設費や運営コストなどを考慮して規模を縮小する方針。食料品や日用品などの買い物環境を整えるほか、30世帯が入居できる町営住宅も復旧し、住みやすい生活空間づくりを進める。
 交流人口の拡大に向けては、拠点内にある町のシンボル・桜並木の本数を増やすなど景観をより充実させる。町は新年度から順次、各施設の整備や取り組みに着手する方針。

【大熊】大熊町の復興拠点は約860ヘクタール。2022年春ごろまでに避難指示を解除、解除5年後の居住人口は約2600人を目標とする。
 JR常磐線全線再開通に合わせ、3月5日にJR大野駅周辺や復興拠点につながる道路の避難指示解除、昨年4月に避難指示が解除された大川原地区に隣接する下野上、野上地区で立ち入り規制を緩和する。
 同駅西側にホテルや産業交流施設のほか、アーカイブズ施設の整備を想定。周辺には帰還住民や廃炉関連事業の従業員向けの住宅、町内事業者や廃炉関連事業者向けの産業団地整備を検討している。下野上地区は「居住・営農」「産業・交流」の2区域に編成、農業振興と産業集積を進める。
 現在は解体・除染工事が進められており、昨年9月には旧県原子力災害対策センター(オフサイトセンター)の解体が着工、11月に建物の解体が始まった。

【双葉】2022年春の帰還開始を目指す双葉町は、魅力ある街を再興するため、JR双葉駅の周辺に「住む拠点」、海に近い中野・両竹(もろたけ)地区に「働く拠点」などを整備する計画を掲げる。
 計画の実現に向け、町と都市再生機構(UR)は昨年10月、同駅西側で宅地の造成や住宅団地の整備に着手。同駅から約1キロ離れた町役場本庁舎については、22年春に合わせ、駅周辺に移転する方向で検討している。
 伊沢史朗町長は「第一印象が大切。田舎なのにすごいなと思ってもらえる街にしたい」と話し、既成概念にとらわれないまちづくりを進める考えを強調する。
 3月4日に避難指示が解除される避難指示解除準備区域の中野地区では、産業団地の整備が進められ、共同企業体を含む16社と企業立地協定を結んだ。さらに、東京五輪が開幕する7月を目標に、町産業交流センターの建設も進む。

【飯舘】飯舘村深谷地区に計画されている復興拠点は、道の駅までい館や村営住宅、集会所が完成し、現在はまでい館北側の多目的広場の整備が進められている。今年夏ごろに見込まれる広場の完成で、ハード事業の整備が一通り完了する予定だ。
 同地区は震災前、田園風景が広がる「村の一等地」だった。拠点は県道原町川俣線沿いに整備され、村は笑顔が交わり、関係者全員が復興を実感できるようになることを思い描く。整備が進む多目的広場の敷地面積は約1万3000平方メートル。までい館に来館する親子連れらが伸び伸びと運動、散策できるよう整備する。広場内には、木造平屋の屋内運動施設も設ける。
 避難指示が大部分で解除されてから間もなく3年。子育て世代の帰村が鈍い中、子どもたちが安全に楽しめる環境を整備し、帰村や移住を促す考えだ。

【浪江】浪江町は復興拠点計画で、2023年までに帰還困難区域の室原、末森(大堀)、津島の3地区で約661ヘクタールを整備する。
 町は帰還困難区域の避難指示解除時期を23年3月末までとし、避難指示解除から5年後の人口目標を約1500人としている。
 室原は家老地区を除いた区域(約349ヘクタール)、大堀は末森地区(約159ヘクタール)、津島は津島支所とつしま活性化センターを中心とする区域(約153ヘクタール)が整備エリア。各地区に「居住促進」「交流」「農業再開」の各ゾーンを設ける。室原には常磐道浪江インターチェンジがあり、交通の要となることから「物流・産業」と「防災」のゾーンを設ける。大堀には大堀相馬焼の里の窯元や物産館「陶芸の杜おおぼり」を整備する方針だ。
 町内では環境省による解体・除染工事が進められている。

【葛尾】葛尾村は復興拠点計画で、帰還困難区域に指定されている野行地区の約95ヘクタールで除染や建物解体を進め、帰還住民が暮らしやすい環境を整える方針だ。野行地区では原発事故前、約120人が生活しており、2022年春ごろまでの実現を目指す避難指示解除後、約80人の居住を見込む。
 復興拠点は「中心地区再生ゾーン」と「農業再生ゾーン」に分けて事業を展開。地区全体では除染・家屋解体を行い、被災し、荒廃した道路やインフラなどの復旧・整備を実施する。
 中心地区再生ゾーンには既設の集会所を復旧させ、地域住民の活動拠点を整備するほか、応急仮設住宅などを活用した交流施設を整備し、コミュニティーの再生や震災・原発事故の記録と記憶の伝承を図る。
 農業再生ゾーンでは、営農意向や営農方法に応じた農地の整備や水利施設の復旧・整備などを行う。

復興の灯…聖火リレー 3月26日に福島スタート 47都道府県巡る

2020 1/2(木) 7:00 毎日新聞 WEB

20190601relaymap.jpg 東京五輪の聖火リレーは3月26日から開幕日の7月24日まで121日間(移動日の7日間を含む)で全47都道府県を巡る。全国市区町村の約半数にあたる858市区町村を約1万人でリレー。

東日本大震災後に東京電力福島第1原発事故の対応拠点となったサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉、広野両町)からスタートし、大会理念の「復興五輪」を世界に発信する。

3月12日にギリシャ・オリンピアで採火後、同国内のリレーで、日本人の先頭を切って2004年アテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずきさんが登場する。聖火は同20日に宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に到着。国内リレーでは、阪神大震災の復興モニュメントのある神戸港(神戸市)や16年熊本地震で被災し復旧工事が進む熊本城(熊本市)も巡る。

 8月25日開幕の東京パラリンピックの聖火リレーは直前の8月18~25日の8日間、競技会場のある東京、埼玉、千葉、静岡の4都県を回る。リレーに先立つ採火式は、全47都道府県の700超の自治体で行われる。

福島県産日本酒7年連続日本一、台風19号など...福島県政この1年

2019年12月31日 11時15分 福島民友 WEB

0031470810.jpg東京電力福島第1原発事故に伴った帰還困難区域などの避難指示について、双葉、大熊、富岡の3町と国、県が合意し、復興へと一歩前進した。「復興五輪」でJヴィレッジ(楢葉町、広野町)が出発地となる聖火リレーのルートが決まったほか、県産日本酒の全国新酒鑑評会での7年連続「日本一」達成など明るい話題もあった。一方、本県を襲った台風19号をはじめとする豪雨では、多くの県民が犠牲になった。2019年の県政を振り返る。

【帰還困難区域】
◆3町一部避難解除へ 双葉、大熊、富岡  
 帰還困難区域の一部地区の避難指示について、双葉町は来年3月4日、大熊町は同5日、富岡町は同10日にそれぞれ先行解除する。政府の原子力災害現地対策本部と県、町の3者がそれぞれ合意した。
(12月20日、同26日)

【台風19号】
◆33人死亡、県内甚大被害
  
 台風19号とその後の記録的大雨で、県内では33人(福島民友新聞社調べ)が犠牲となった。住宅被害も27日現在、全壊1438棟、半壊1万2015棟に上り、一部損壊や浸水を合わせると2万棟を超えた。167人が避難所生活を続けている。
(10月12日ほか)
 被災者支援を巡り県は、被災者生活再建支援法の対象外となる半壊、床上浸水の世帯に、1世帯当たり10万円を支給する新たな支援金制度を設けた。35市町村の1万8570世帯が対象。
 また、県は第三者委員会を設けて避難情報の伝達方法や市町村など、関係機関との連携に問題がなかったかどうかを検証する。県の地域防災計画に反映させる。
台風19号の影響で冠水した本宮市の中心市街地=10月13日
 
【福島ロボットテストフィールド】
◆研究棟が開所
  
 県が南相馬市と浪江町で整備を進めているロボットの研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」の中核施設となる研究棟が開所した。
(9月30日ほか)
 県内外の16企業・団体がフィールド内の「南相馬滑走路」「水没市街地フィールド」などの施設を活用してロボットの研究、開発に当たっている。全21施設が完成し、全面開所は来春となる。

【福島第2原発】
◆正式に廃炉決定

  
 東京電力が福島第2原発(写真、楢葉町、富岡町)全4基の廃炉を正式決定した。第1原発の全6基と合わせ、県内原発の全10基が廃炉となる。(7月31日)
 完了には40年以上かかる見通し。第2原発にある約1万体の使用済み核燃料の取り扱いについて東電は、敷地内に一時保管する貯蔵施設を新設し、金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」を導入する。県庁を訪れて廃炉決定を報告した小早川智明社長に対し、内堀雅雄知事は「県として重く受け止める。安全かつ着実に進めてほしい」と要請した。
 
【福島第1原発処理水】
◆処分法3案提示

  
 東京電力福島第1原発で保管される放射性物質トリチウムを含む処理水を巡り、経済産業省は政府の小委員会が取りまとめる提言案を示した。

トリチウム含む水の処分 風評被害に懸念 地元の意見どう反映

12月24日5時18分更新

https___imgix-proxy.n8s.jp_DSXMZO5371686023122019EA1001-PN1-2.jpg福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどを含む水の処分方法について、国の小委員会は23日、基準以下に薄め、海か大気中に放出する案を中心に議論を進めるとする素案を示しました。風評被害を懸念する声が早くもあがっていて、専門家は今後、地元の意見をどう議論に反映させていけるかが焦点となるとしています。

福島第一原発では、汚染水を処理したあとのトリチウムを含んだ水が毎日発生し、現在、1000近くのタンクにおよそ117万トンためられています。

この水の処分方法を検討している経済産業省の小委員会は23日、基準以下に薄めて海に放出する案と蒸発させて大気中に放出する案を中心に議論を進めることを提言する素案を示しました。

これに対して福島県漁連の代表は「福島の漁業が再び、大きな風評被害を受けることは避けられず、反対の立場は変わらない」などのコメントを出すなど風評被害を懸念する声が早くもあがっています。

経済産業省では今後、福島を中心に関係者から幅広く意見を聞く方針ですが、どんな形で誰の意見を集めるかについてはまだ示されていません。

原子力と社会の関わりに詳しい、東京電機大学の寿楽浩太准教授は、「今後は賛同できない人たちの納得をどう得るか。また、負の面にどういった手を講じるかがポイント」と話し、地元などの意見をどう議論に反映させていけるかが焦点となるとしています.

福島原発処理水 処分方法の決定先送りできぬ

2019/12/29 05:00 読売新聞社説 WEB

brg181119a.gif福島第一原子力発電所の廃炉を進めるうえで、原発事故に伴って生じ続ける汚染水の扱いは最大の課題である。
 現在、汚染水を浄化した処理水約110万トンが福島第一の敷地内の1000基近いタンクで貯蔵されている。
 この処理水の処分法を議論してきた経済産業省の有識者会議が、海洋や大気への放出に絞る報告書案を示した。今後、政府の最終決定のたたき台になるものだ。
 放射線や環境問題の専門家で構成する有識者会議では、地下深くに埋設したり、電気分解したりする選択肢も検討した。ただ、海洋や大気への放出と異なり、いずれも過去に例のない複雑な方法で、多額の費用が見込まれる。
 候補から外れたのは、このような難点が多いためだろう。

報告書案の海洋放出は、微量のトリチウムが残る処理水を、国の基準を下回る濃度まで海水で希釈して海に流す方法だ。
 トリチウムは自然界に存在し、放射線は弱い。経産省の推計では、仮に1年間ですべての処理水を海に流しても、沿岸住民の被曝
ひばく
線量は、自然界で1年間に浴びる線量をはるかに下回る。世界中の原子力施設からも排出されている。

 安全の確保を前提にすれば、現実的な処分方法と言えよう。
 問題は、風評被害の発生が予想されることだ。地元の漁業関係者らの懸念は大きい。

海洋放出を実施する場合には、風評被害を防ぐ対策を講じることが大切だ。放出した海でとれる海産物を食べても人体に影響がないことを、政府は消費者に繰り返し丁寧に伝える必要がある。
 諸外国が輸入制限などの不合理な措置をとらないよう、説明を尽くす努力も求められる。
 一方、大気放出は、高温で処理水を蒸発させ、上空に流す。大気中で国の基準を下回るようにするものの、天候に左右され、安定して放出するのが難しい。
 海洋放出と違い、漁業だけでなく農業や観光産業にも風評被害が及ぶ恐れがある。

政府は福島第一の廃炉工程表を改訂し、まずは2号機の溶融燃料の取り出しに着手する。
 取り出した燃料は当面、敷地内で保管する見通しだ。処理水のタンクが敷地を占領していては、作業の足かせとなりかねない。
 処理水のタンクを増設しても2022年には満杯になって、貯蔵量が限界に達するとの試算もある。政府は先送りせず、処分方法の決定に向き合うべきだ。

聖火リレールート追加要望へ 双葉町、避難指示一部解除受け

2019/12/27 09:51 (JST) 福島民友 WEB

AS20190601000873_comm.jpg東京電力福島第1原発事故に伴い双葉町全域に出されている避難指示の一部が、来年3月4日に先行解除される見通しとなったことを受け、伊沢史朗町長は26日、2020年東京五輪・パラリンピックの聖火リレーのルートへの追加を県実行委員会などに要望する考えを示した。

 いわき市の町いわき事務所で同日行われた先行解除に関する協議後の会見で、伊沢町長は「解除日の合意を踏まえ、県や組織委員会に聖火リレーのルートに追加してもらえるよう要望していく」と語った。

追加された場合については「復興している姿を県内外、世界に見てもらえるルートにしてほしい」と述べた。

 会見に同席した鈴木正晃副知事は「復興五輪という理念の下で進められているので、避難地域や被災地域への配慮は必要」との認識を示し、町の意向を確認しながら組織委員会などと検討するとした。