東京電力福島第一原発事故 生業訴訟、津波予見など争点 30日、初の高裁判決

2020/09/29 09:43 福島民報 WEB

20200929-00000014-fminpo-000-1-view.jpg東京電力福島第一原発事故の被災者約三千八百三十人が国と東電に慰謝料や居住地の放射線量低減を求めた生業(なりわい)訴訟の控訴審判決は三十日、仙台高裁で言い渡される。全国で約三十ある同種訴訟のうち、国の責任を高裁が判断するのは初めて。国の責任を巡る各地裁の判決が分かれる中、高裁の示す結論に注目が集まる。

控訴審の主な争点は【表】の通り。(1)国と東電は第一原発に襲来する大津波を予見できたか(2)建屋の水密化などで事故を防げたか(3)国の中間指針に基づく賠償が妥当か-などが争われている。原告は一人当たり月額五万円の慰謝料を求めており、事故が起きた二〇一一(平成二十三)年三月から控訴審が結審した今年二月までの総額は約二百十五億円に上る。原告団約三千八百三十人は同種訴訟で最も多い。

同種訴訟のうち、国を被告に含めた十三件で地裁判決が出ており、国に賠償を命じたのは七件と判断が分かれた。残りの六件は大津波は予見できたとしつつ、対策工事をしても事故は防げなかったなどとして国の責任を認めていない。

 二〇一七年十月の一審福島地裁判決は、二〇〇二年七月に公表された政府の地震予測「長期評価」に基づけば、国と東電は大津波を予見できたと判断。対策工事で事故は防げたとし、原告約二千九百人に対して総額約五億円を支払うよう両者に命じた。ふるさと喪失慰謝料や原状回復は認めなかった。

 控訴審で住民側は賠償の増額や原状回復を改めて請求。国は「地震は予見できず、事故も防げなかった」、東電は「国の指針に従い十分に賠償した」と反論した。

■被害実情しっかり見て 原告団長 中島孝さん(相馬)

 原告団長の中島孝さん(64)=相馬市=は三十日に迫った控訴審判決を前に、「被害の実情をしっかりと見てほしい」と訴えた。

 一審も含めるとこれまで四度、意見陳述で法廷に立った。今年二月に仙台高裁で迎えた最終意見陳述で裁判官に問い掛けた。「明るい見通しを持って生活を営むことは私たちの喜びです。原発事故でそれが長期にわたり断ち切られた時、人はどう生きることができるでしょうか」

相馬市でスーパーを営み、地場の魚介や野菜を扱っているが「震災前ほどの活気はないね」とうなだれる。避難の有無にかかわらず、多くの人が被害を受けたと思っている。国が過失を認めず、東電も中間指針に沿った定型的な賠償に終始していることに憤りを感じる。

 原発事故から十年目に出される判決。「この判決が原発政策と中間指針を問い直す一つのステップになるはず」。そう信じて判決を待つ。

廃炉1号機の燃料、別機で利用へ 愛媛・伊方原発、米に輸送

2020/9/28 19:30 (JST)9/28 19:47 (JST)updated 共同通信 WEB

8.jpg愛媛県は28日、廃炉が決まっている四国電力伊方原発1号機(愛媛県伊方町)の燃料保管庫で保管中の未使用燃料集合体42本を、10~12月中に米ワシントン州に海上輸送すると同社から連絡があったと明らかにした。

同原発から未使用燃料が搬出されるのは初めて。

県や四国電によると、搬出は1号機の廃止措置計画に基づくもので、詳細日程は保安上の理由から非公表。規格の異なる3号機で使用するため加工する。日本国内の施設でも技術的には可能だが、施設の規模などを考慮すると米国の方が早く作業ができるという。

 四国電は「慎重にも慎重を期して安全確保を最優先に取り組む」とコメントした。

核ごみ応募巡り「国は餌だけ」元高知知事の橋本大二郎氏が批判

2020/9/27 16:32 (JST) 共同通信 WEB

9.jpg北海道寿都町と神恵内村で相次ぎ浮上した高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の文献調査応募への動きを巡り、2007年に高知県東洋町が応募した際の元高知県知事、橋本大二郎氏(73)が27日までに取材に応じ「国は餌だけ垂らして何もせず、手を挙げた首長にすったもんだを任せている」と批判した。

処分場選定の文献調査を受け入れた自治体には国から2年間で最大20億円の交付金が支給される。

調査入りには自治体の応募のほか、国から申し入れるケースもあるが、事前の自治体による住民の合意形成が前提だ。橋本氏は「(住民間で)落ち着いた議論は難しい」と指摘する。

東海村の臨界事故21年で集会 原子力は「失敗許されない」

2020/9/26 19:24 (JST) 共同通信 WEB

63.png999年に茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で作業員3人が大量被ばくし、うち2人が死亡した臨界事故から21年になるのを前に、事故を語り継ぎ、脱原発を目指す集会が26日、水戸市で開かれた。

出席者は「原子力は失敗が許されない」と指摘し、日本原子力発電東海第2原発(東海村)を再稼働しないよう訴えた。

集会には150人が参加し、冒頭で黙とうした。

元原発設計技術者の後藤政志さんはスライドや動画を使い、半径30キロ圏内に90万人以上が住む、東海第2原発のリスクを説明。「危険性を分かっていながら再稼働を容認するのは未必の故意」と批判した。

福島第1原発の処理水タンク22年9月満杯に 東電が試算を微修正

2020年09月25日金曜日 河北新報 WEB

001_size3.jpg東京電力は24日、福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の保管タンクが、2022年9月末に満杯になるとの見方を明らかにした。満杯時期はこれまで「22年夏ごろ」と説明しており、より詳しい試算を踏まえ微修正した。

 東電や国によると、20年の汚染水発生量は1日当たり150トンを見込んでいたが、1~9月の実績は約140トン。雨水対策が順調に進み、降雨も安定して推移しているためだという。

 福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は1日150トンを念頭に「9月末時点で今後2年間はやりくりできる」と説明。「(降雨などにより)プラスにもマイナスにも振れる」とも述べた。

 国は処理水の処分方法を検討中。処分は準備に2年程度を要し、当初は今夏が決定時期とみられた

敷地内のタンク保管は137万トンが上限とされ、現在123万トンに達している。

女川原発再稼働に「同意の方向」宮城・石巻市長

2020/9/24 18:16 (JST) 共同通信 WEB

hw414_AS20200226001140_comm.jpg東北電力女川原発2号機(宮城県石巻市、女川町)の再稼働を巡り、石巻市の亀山紘市長は24日、市議会が再稼働に賛成する陳情を採択したことを受け、取材に対し「議会の考え方を尊重する。再稼働に同意する方向だ」と述べた。

 再稼働は、県と2市町の首長による同意が前提。亀山市長は正式な表明は「(反対意見もあった)住民説明会での意見などを、もう一度理解した上で行う」とした。

市議会本会議は24日、経済効果を見込み早期再稼働を求める地元商工会の陳情を賛成多数で採択した。住民団体が出した再稼働に反対する請願は不採択とした。

 同じ立地自治体の女川町長の判断が焦点となっている。

民主 枝野氏「自然エネ普及で脱原発」早期実現に意欲

2020/9/23 18:13 (JST)9/23 18:22 (JST)updated 共同通信 WEB

20190219_sdgs_renewable_energyinstitute00.jpg立憲民主党の枝野幸男代表は23日、日本外国特派員協会で記者会見し、自身が唱える「自然エネルギー立国」の実現により脱原発を達成したいと意欲を示した。

原子力を発電に使わないという方向を、できるだけ早く実現する。自然エネルギー分野を成長させて、国内(需要)の100%に近づける」と述べた。

自然エネルギーはコストや安定供給といった課題を抱えるが「供給量や価格は、時間の問題で解決できる」と断言。

技術を発展させ、世界に売り込む考えも示した。使用済み核燃料の処分や廃炉、立地地域の雇用など脱原発の課題を挙げ「正面から向き合い、解決へ努力したい」と強調した。

韓国政府 福島原発汚染水の海洋放出検討に懸念表明=IAEA総会

2020.09.22 18:12 韓国 聯合ニュース WEB

b7667d55-ss_contaminatedwater.jpg【ソウル聯合ニュース】韓国政府はオーストリア・ウィーンで開催されている国際原子力機関(IAEA)総会で、日本政府が東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ処理水の処分方法として海洋放出を有力に検討していることに懸念を表明した。

韓国科学技術情報通信部によると、同部の鄭炳善(チョン・ビョンソン)第1次官は22日、映像配信の形で行われた首席代表の演説で、日本が検討している海洋放出による環境面での安全性に対し、韓国を含む国際社会の懸念と不安が募っていると指摘。

海洋放出は全地球的な海洋環境に影響を与えかねないため、中長期的な環境への害などを十分に検討すべきであり、これに向けIAEAなど国際社会との協力が必要だと訴えた。

 特に、日本は原発汚染水の処分方法を決定するにあたり、国際社会がその安全性を十分に理解し、受け入れられるよう、韓国を含む国際社会と透明に意思疎通を図る義務があるとし、この過程でIAEAが積極的かつ中枢的な役割を果たすことを提案した。

 鄭氏はこのほか、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和体制の定着に向けた韓国政府の努力を紹介し、IAEAと加盟国、国際社会に積極的な後押しを求めた。

福島原発敷地の再利用を研究 加藤氏、廃炉完了は予測しにくい

2020/9/18 17:50 (JST)9/18 18:07 (JST)updated 共同通信 WEB

h29kiso-06-03-01.png加藤勝信官房長官は18日の記者会見で、東京電力福島第1原発の廃炉完了後の敷地再利用について「調査研究を進め、検討を深めなければならない」と述べた。廃炉作業は「国が前面に立って進めていく」と強調した。

 日本原子力学会は廃炉作業が完了し、敷地を再利用できるようになるまで最短でも100年以上かかるとした報告書を公表。

加藤氏は、廃炉作業の完了時期などを巡り「予想が立ちにくい」と語った。

東電と国の工程表では2041年から51年までの廃炉完了を目指している。

報告書は「廃炉の進め方や完了後の土地利用について、今から地元と議論するべきだ」などと提言している。

核ごみ調査に関心「ありがたい」電事連会長、応募の動きに

2020/9/18 18:06 (JST) 共同通信 WEB

genpatsuusedfuelPK2013092402100042_size01.jpg大手電力会社でつくる電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は18日、東京都内で記者会見し、北海道寿都町と神恵内村で、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募する動きが出ていることについて「関心を寄せてもらい大変ありがたいことだ」と述べた。

 池辺氏は、電気事業者として「情報をきちんと公開し説明することに尽きる。地域との対話活動を通じて関心や理解が深まるよう取り組みたい」と強調した。

「核のごみの持ち込みは受け入れがたい」とする道条例については「議論することは止められていない」との見解を示した。

福島第一原発の廃炉作業「スマートグラス」を本格導入

2020年9月20日 5時57分 NHK WEB

K10012627231_2009192045_2009200557_01_02.jpg東京電力は、福島第一原子力発電所や周辺で採取した水などの分析に「スマートグラス」と呼ばれるメガネ型のデジタル端末を今月から本格導入しました。作業の効率化を進め、廃炉作業に関わる人材を有効に活用したいとしています。

福島第一原発では、敷地内や港湾、周辺の海で水などを採取し、放射性物質の濃度や水質などを毎日分析して公表していますが、今月から、この作業に「スマートグラス」と呼ばれる端末を本格導入しました。

「スマートグラス」は、顔に装着すると、作業手順や分析値のグラフなど、必要な情報がメガネの液晶画面に映し出される仕組みです。

小型カメラでQRコードを読み取ると、採取場所や担当者の情報を自動で登録できるほか、音声で日時なども入力することができます。

これまで、こうした作業は、チェックシートなどを使い手作業で行っていましたが、端末の導入で、140人ほどいる担当者のうち、およそ30人は、ほかの業務に回ってもらうことが可能になったということです。

30人は今後、業務量が増える見通しの溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」の分析などにあたってもらうということです。

東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの鈴木純一グループマネージャーは「膨大なデータの手入力で労力がかかり、ミスもあったが、システムの導入で生産性と正確性の向上が期待できる。生じた余力を新たな分析技術の分野に投入し、廃炉作業を加速させたい」とねらいを話しています。

40年超原発、年初にも運転 関電、安全対策工事完了

2020/9/18 15:26 (JST)9/18 15:27 (JST)updated 共同通信 WEB

ec7a7_1675_465f8d4a8332a4c8b0dbe7ea11f67efd.jpg関西電力は18日、原則40年の運転期間を超えた美浜原発3号機(福井県美浜町)と高浜原発1号機(同高浜町)について、運転延長に必要な安全対策工事が完了したと明らかにした。

関電は美浜3号機を来年1月、高浜1号機を同3月にも再稼働させる工程を示しており、実現すれば東京電力福島第1原発事故後に「原則40年、最長で延長20年」のルールができてから40年超の原発で初となる。

関電は18日、安全対策に関し地元自治体に説明した。今後、再稼働に必要な地元同意が得られるかが焦点。関電役員らの金品受領問題を受け、地元首長や議員らから厳しい声が相次ぎ、工程が遅れる可能性もある。

日立、英の原発新設計画から撤退 採算改善見込めず、コロナも影響

2020/9/16 19:25 (JST) 共同通信 WEB

20200915-00000037-ann-000-2-thumb.jpg日立製作所は16日、英国の原発新設計画から撤退すると発表した。

英政府の支援拡大を求めていたが調整が難航し、採算改善が見込めないとして、昨年1月にプロジェクトを凍結していた。

その後の交渉でも将来の事業リスクを払拭できず、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで投資環境が厳しくなっていることなども踏まえ、計画撤退を最終判断した。

同日の取締役会で決定した。


英政府にも報告済みという。2012年に現地の事業会社を買収して以降、官民一体で計画を推し進めたが結実せず、日本政府が成長戦略の柱と位置付けてきたインフラ輸出は大きくつまずいた形だ。

青森の再処理工場など現場調査へ 規制委、査察の封印損傷問題で

2020/9/16 17:44 (JST)9/16 18:01 (JST)updated 共同通信 WEB

K10012622091_2009170156_2009170646_01_03.jpg原子力規制委員会は16日、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)などで、核物質の盗難防止に向け、国際原子力機関(IAEA)が設備を査察したことを示す封印のワイヤが切れる問題が相次いでいるとして、施設を現場調査することを決めた。

 規制委によると、2008年以降、再処理工場やウラン濃縮工場で、IAEAや国の封印の損傷が計7件発生。

今年8月には再処理工場で、プルトニウム監視装置のデータを伝送するためのケーブルを収納する箱に取り付けられた封印が切れているのが見つかった。

作業員が部材のパイプを誤ってワイヤに接触させたことが原因とみられる。

福島環境・未来大使になすびさん 環境省が任命、除染など情報発信

2020/9/15 17:45 (JST) 共同通信 WEB

Eh77U2PUMAAufWf.jpg環境省は15日、東京電力福島第1原発事故からの福島県の復興に向け、除染など同省が進める取り組みを発信する「福島環境・未来アンバサダー」に、福島市出身のタレント、なすびさんを任命した。

 小泉進次郎環境相から任命書を受け取ったなすびさんは「非常に身の引き締まる思い。福島のために尽くしていきたい」と話した。小泉氏は「除染などの理解に向けたアプローチを一緒にやっていただきたい」と話した。

なすびさんはこれまでも、除染や中間貯蔵施設に関する環境省の冊子やテレビ番組に登場。

東日本大震災で被災した太平洋沿岸部約千キロを結ぶ「みちのく潮風トレイル」を踏破している。

【震災 原発事故9年6カ月】[健康・放射線管理]健康影響 調査続く

2020/09/13 19:38 福島民報 WEB

20200913-00000019-fminpo-000-3-view.jpg東京電力福島第一原発事故の発生から九年半となり、「県民健康調査」のうち、放射線被ばくの影響を調べる甲状腺検査は四巡目に入っている。昨年六月の中間報告では「甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」とされた。来年七月までをめどに一巡目から三巡目のデータの分析を深め、県民の健康状況把握に努める。避難区域となった地域では、医療機関が次々に再開しているが、一層の体制整備が求められている。

■甲状腺検査4巡目 放射線被ばくとの関連分析

 県民健康調査の甲状腺検査は今月、二〇二〇(令和二)年度分の検査を開始する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期していたが、感染拡大防止対策を講じた上で再開する。四巡目検査が終わり次第、五巡目検査に入る。

 甲状腺検査一~四巡目の今年三月末までの結果は【表】の通り。この結果に、二十五歳時の「節目の検査」の結果を合わせると、甲状腺がんと確定したのは百九十九人、がんの疑いのある人は四十六人となっている。

 検査は原発事故当時に十八歳以下だった県内の全ての子ども約三十八万人を対象に、二〇一一(平成二十三)年度に始まった。二〇一四年度から二巡目、二〇一六年度から三巡目、二〇一八年度から四巡目の検査が行われている。九月以降、新型コロナの影響で三月に実施できなかった四巡目検査を十六小学校(対象約二千人)で実施した後、五巡目検査を百四十二校(対象約一万七千六百人)で行う予定。

県民健康調査検討委員会の下部組織に当たる甲状腺検査評価部会は昨年六月、二巡目の結果について「現時点で甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」との中間報告をまとめ、検討委も報告を了承した。

 評価部会は来年七月までをめどに、一~三巡目の甲状腺検査のデータを解析する。検査間隔や震災時年齢、検査時年齢などの要素も重視して、放射線被ばくと甲状腺がん発症の関連について、さらに分析を進める。国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)が今年中にまとめる県内各地の被ばく線量の推計報告を活用する方針。

 全てのがん患者を対象とする「地域がん登録・全国がん登録」などの患者情報が秋ごろに取得できる見通しとなり、今後、未受診者の罹患(りかん)状況も調べる。

■受診率は低下傾向 健康診査も

 県民健康調査には「甲状腺検査」をはじめ、原発事故に伴い避難指示が出るなどした地域の全住民を対象とした「健康診査」「こころの健康度・生活習慣に関する調査」、全県の妊産婦を対象とした「妊産婦調査」の四つの取り組みがある。

 健康診査は双葉郡八町村と南相馬、田村、川俣、飯舘の四市町村の全域、伊達市の一部が対象。こころの健康度・生活習慣に関する調査は避難者の心や健康に関する不安を把握する目的で実施している。

 妊産婦調査は二〇二〇年度の調査を最後に終了する。

 歳月の経過や対象者の生活状況の変化に伴い、受診率はいずれも低下傾向にある。

■医療機関再開、新設進む 避難区域12市町村

 原発事故に伴い、避難区域が設定された十二市町村の主な医療機関の休止・再開・新設状況は【図】の通り。八月一日現在、診療している病院や診療所、歯科診療所は三十四カ所で、原発事故前にあった百カ所の約三割となっている。

 避難指示の解除が進むにつれ、医療環境は徐々に整いつつある。一方、住民の帰還が進まず居住者数が限られる中、医療機関の採算性をいかに確保するかが課題となっている。

 県によると、帰還した住民からは内科以外にも眼科など専門診療科の充実を求める声が上がっているという。

 楢葉町は六月に「ならは薬局」を開設した。原発事故で町内三カ所の薬局がなくなっていた。県内初の公設民営の薬局で、運営は県復興支援薬剤師センターが担っている。

■県民健康管理センター長 神谷研二氏に聞く 「甲状腺検査、休日夜間も 結果分かりやすく広報」

 県民健康調査の事務局を担う福島医大放射線医学県民健康管理センターの神谷研二センター長に調査の現状や課題を聞いた。

 -県民の健康状況をどのように捉えているか。

 「県民健康調査で、原発事故後四カ月間の外部被ばく線量は93・8%の人が二ミリシーベルト未満、99・8%は五ミリシーベルト未満と分かった。チェルノブイリ原発事故に比べると非常に低く、外部被ばく線量に関して健康影響があるとは考えにくいレベルだ。事故当時、十八歳以下だった子どもが対象の甲状腺検査については検査二回目までに見つかったがんと放射線被ばくとの関連性は考えにくいとされている」

 -甲状腺検査は受診率が低下傾向にある。

 「事故直後に実施した一次検査の受診率は八割を超えていたが、現在は六割程度で推移している。二十歳を過ぎてから五年おきに受ける節目の検査の受診率は8・4%にとどまる。進学や就職などで福島県を離れることなどが、受診率低下の要因になっているようだ。希望者が負担なく受診できるように、県内外で検査機関を増やし、休日や夜間の検査体制も整えている。転居後に受診の案内を届けるために、さまざまな機会を通じて住所変更の連絡をお願いしている」

 -妊産婦の本調査は今年度で終了する。

「県内の早産率や低出生体重児率、先天奇形・先天異常発生率は他の全国調査の値とほぼ同水準だと分かり、所期の目的は達成できた。妊産婦のうつ傾向の割合や放射線に関する不安も低下している。妊産婦の本調査は終了するが、市町村の母子保健事業への支援を通じて、今後も総合的な子育て支援を続ける。これまでの調査結果は分析・評価し、県民に向けて発信する」

 -分かりやすい情報発信が求められている。

 「放射線の健康影響を心配する人の割合は減ってはいるものの、いまだに一定程度みられる。リスクコミュニケーションの推進は大きな課題となっている。調査結果を広く周知するために、調査内容や結果を分かりやすくまとめた報告書を配布したり、調査結果を県民に直接伝える国際シンポジウムを開催したりしている。県民がどのような情報を求めているのかをきめ細かく把握し、より戦略的な広報を展開していきたいと考えている」

かみや・けんじ 岡山県出身。広島大医学部卒。広島大緊急被ばく医療推進センター長などを歴任。2011年4月に福島県放射線健康リスク管理アドバイザー、同年7月に福島医大副学長に就いた。2016年から放射線医学県民健康管理センター長を兼ねる。専門は放射線医学。69歳。

女川再稼働に反対、脱原発首長ら オンライン会合、緊急声明

2020/9/12 19:26 (JST) 共同通信 WEB

img_7d32f28278e77c6aa4bd97894845df2d49585.jpg脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」が12日、オンラインで会合を開き、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働について「避難計画の実効性が確認されない限り、絶対に認められない」と反対する緊急声明を発表した。

 会合には宮城県から高知県まで全国15市区町村の現職首長6人、首長経験者9人が参加。

女川2号機は2月に原子力規制委員会の審査に合格し、地元同意が再稼働に向けた焦点になっている。声明では、避難計画について住民から多くの疑問が出ているとして「立地自治体は同意すべきでない」と訴えた。

東電、福島第1原発に防潮堤新設 最高15m、厚さ5mに増強

2020/9/12 21:01 (JST)9/12 21:17 (JST)updated 共同通信 WEB

img_f225f9573e48a6b8d3c4dbbefb8a8b2227198.jpg日本海溝沿いで起きる巨大地震に伴う津波に備え、東京電力が福島第1原発に防潮堤の新設を検討していることが12日、関係者への取材で分かった。津波が1~4号機の海側に建設中の海抜11mの防潮堤を超える恐れがあり、約13~15m、厚さ5mに増強する。2023年度の完成を目指す。

 内閣府の有識者会議が4月に公表した津波想定を受けた対応。

東電の解析では、1~4号機の海側に最高で14.1mの津波が来襲し、1m以上浸水する結果が出た。

東電は原発事故後、日本海溝の外側で起こる「アウターライズ地震」に備え、4号機東南側に海抜12.7mの仮設防潮堤を設置した。

核ごみ 神恵内村 調査応募検討 経産相「ありがたい」

09/11 13:03 北海道新聞 WEB

20200911-00010000-doshin-001-4-view.jpg梶山弘志経済産業相は11日の閣議後会見で、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に向け、後志管内神恵内村で応募検討の動きがあることについて「大変ありがたい」と歓迎した。

 梶山氏は、応募検討を求める請願を神恵内村議会に提出した村商工会について「全国で対話活動を進める中で、神恵内村商工会をはじめとした複数の経済団体などから関心をいただいている」と述べ、検討の動きがあることを以前から認識していたことを明らかにした。(上野香織)

知事が反対なら選定から除外 寿都町核ごみ調査、国が北海道に回答

2020/9/10 22:08 (JST)9/10 22:25 (JST)updated 共同通信 WEB

20200904-00000583-nnn-000-2-thumb.jpg北海道寿都町が高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定で第1段階となる文献調査に応募を検討していることを巡り、道は10日、資源エネルギー庁が「知事が(次の段階の)概要調査地区の選定に反対であれば、処分地選定プロセスから外れる」と道の問い合わせに回答したことを明らかにした。

 また同庁の担当者は「概要調査地区の選定に当たっては、経済産業省として、知事または市町村長の意見に反して選定を行うことはない」とも述べたという。

 鈴木直道知事は8日の記者会見で国に問い合わせていることを明らかにした。

福島・大熊町、仕込みへ米収穫 会津若松との縁保つ酒造り

2020/9/9 18:10 (JST)9/9 18:19 (JST)updated 共同通信 WEB

sty2009090020-f1.jpg東京電力福島第1原発事故で昨年まで全町避難が続いた福島県大熊町で9日、日本酒の原料となる酒米の収穫が行われた。酒米を仕込むのは、町役場が事故直後から昨年4月まで避難していた会津若松市の酒蔵。町の担当者は「避難でできた縁を絶やさず、感謝の気持ちも示せれば」と話す。

 収穫に取り組んだのは、昨年4月に避難指示が解かれた同町大川原地区。青空の下、町農業委員会のメンバーらがコンバインで刈り取った。

事故前、町での酒米作付けはほぼなかったが、会津地方で盛んな酒造りを通じて会津若松市とのつながりを保とうと町が企画した。本年度の生産目標は720ミリリットル瓶で750本。

核燃料半数を敷地内で乾式貯蔵へ 施設増設も検討、福島第2原発

2020/9/8 17:29 (JST) 共同通信 WEB

151484500808079588178_FILE_009.jpg東京電力は8日、廃炉が決まった福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の使用済み核燃料計9532体について、約半数を敷地内に新設する乾式の貯蔵施設で保管する計画を明らかにした。

残りの搬出先が決まらなければ、貯蔵施設増設も検討する。富岡町議会特別委員会で示した。

 核燃料は原子炉建屋内のプールに冷却中で、建屋解体前に取り出す必要がある。

新設する貯蔵施設では、使用済み核燃料を金属容器に入れて空冷する。

計画によると、廃炉に着手して6年後から、毎年600体をプールから搬出。ただ、貯蔵施設に保管できるのは全体の半数程度で、搬出開始の約8年後には満杯になる計算だ。

トリチウム処理水 本格操業へ水差すな

2020/09/04 09:48 福島民報 WEB

20200907-00000011-fminpo-000-2-view.jpgヒラメやカツオなどの鮮魚をはじめ、メヒカリ、サバの干物が並ぶ。いわき市小名浜のさんけい魚店の三代目女将(おかみ)、松田幸子さん(37)の元気な声が響く。

 「旬の魚が入ってますよ」「いつものお刺し身盛り合わせですね」。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から九年半、漁業関係者にどんなに厳しい逆風が吹いても、一日も早い本格操業を願い、頑張ってきた。

しかし、東電福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、政府の小委員会は最終報告書で海洋放出、大気放出するのが現実的な選択肢として政府に提言した。

 今、処理水を保管するタンクを置く場所が原発敷地内に少なくなってきており、処分方法の決定が近づいているとされている。これまでの苦労が思い出され、未来への不安が膨らんでくる。



 原発事故直後、長年通う常連客からも「福島県沖で捕れた魚は本当に安全なのか」「干物は放射性物質で汚染されているのでは」との言葉を突きつけられた。「気になるのなら買わなくて結構です」と言い返しそうになるのを何度もこらえた。

県内の漁業者はみな見えない敵と闘ってきた。試験操業で採取した魚介類は、魚種ごとに放射性物質を検査してきた。今年二月にコモンカスベの出荷制限が解除され、原発事故後に制限対象となった四十三魚種、四十四品目が全て解除された。

本格操業に向けた動きが期待される矢先、トリチウム水の処分方法がちらつき始めた。

 海や大気への放出が現実的だとする報告書をまとめた政府の小委員会に対し、「震災当時から少しずつみんなが協力して日常を取り戻してきた。福島県の海や大気への放出は受け入れられない」と疑問を投げ掛ける。

港町・小名浜に生まれ、鮮魚店を切り盛りする両親を見て育った。小さい頃から魚や海は身近だった。現在は鮮魚店で働く一方で、地域住民に魚のさばき方や料理方法を教えている。

 福島県から茨城県までの沖合は、親潮と黒潮がぶつかる潮目の海で、寒流と暖流に乗って魚が集まる全国屈指の漁場だ。鮮度と価格、品質のどれをとっても格別で、「常磐もの」としてブランドになっている。小名浜漁港に水揚げされる魚は、地元の鮮魚店にとって何にも代え難い宝だ。

 「海に関わる人は、海に誇りを持っている。県内で処理水が処分されれば、漁業者が積み上げてきた努力が崩れ去る。それだけは絶対避けたい

福島第一原発3号機 水素爆発は複数回の可能性 詳しく検証へ

2020年9月4日 6時39分 NHK WEB

K10012599551_2009040636_2009040639_01_03.jpg福島第一原子力発電所の事故の調査を行っている原子力規制委員会は、水素爆発を起こした3号機について複数回爆発が起きた可能性があるとの見方を示し、今後詳しく検証することになりました。

東京電力福島第一原発では9年半前の事故の際、原子炉の核燃料が溶け落ちて水素が発生し、1号機と3号機は水素爆発を起こして建物が大きく壊れました。

去年秋から事故原因などの調査を再開した原子力規制委員会は、3日、3号機について議論を行い、これまでに実施した建物内部の調査や爆発の映像の分析から、爆発が1回だったと見られる1号機と異なり、3号機では複数回発生していた可能性があるとの見方を示しました。

建物内部の壁や天井、はりの壊れ方などから、爆発は最上階の5階および4階でおきた可能性が高いとしています。

規制委員会では今後、発生した水素量や発火のタイミングなど、爆発の検証を続け、ほかの原発の安全対策などにつなげたい考えです。



福島第1原発事故の教訓後世へ 県の伝承施設、報道陣に公開

2020/9/5 18:38 (JST) 共同通信 WEB

uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFs-Knw39CLTsfp6KpenqJJAzzYJEGJfiPQocFFPBA1ZqucmLjIJzMss-7AUdgeikMo9TJzcPx8ODLgfnuUIbZG5-mrEGQdo-P8Kgda_7k1eWVyndrG906l5qZC3RFClX1TsjWgjGOUNuM2bxpU5vAHk=.jfif東京電力福島第1原発事故などの記憶や教訓を後世に継承する福島県のアーカイブ拠点施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」が、第1原発が立地する双葉町に完成し5日、報道陣に公開された。

20日にオープンし、約160点の展示資料や大型スクリーンを使った映像で、記憶の風化を防ぐ狙いだ。

 当初は今夏の開館を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で遅れた。

事故直後の混乱を伝えるゾーンには、放射性ヨウ素の測定結果を手書きで記した、旧原子力センター(大熊町)のホワイトボードを展示

防護服や除染廃棄物を詰める袋「フレコンバッグ」も置かれ、長期化する除染作業の現状を伝える。

台風で原発4基の稼働中断 原子炉は安全=韓国

2020.09.03 09:16 釜山聯合ニュース WEB

PYH2020090300840001300_P2.jpg韓国南東部を襲った台風9号の影響で、釜山市にある原発4基の稼働が中断された。

原発を運営する韓国水力原子力(韓水原)の古里原子力本部は3日、この日明け方に古里原発3、4号機と新古里原発1、2号機の原子炉が停止したと発表した。

原子力安全委員会は韓水原から原子炉の自動停止について報告を受け、専門家からなる調査団を派遣し調査を行っている。

古里原子力本部は、原子炉停止の原因が発電所外部の電力系統の異常と推定しており、原因を調べている。

原子力安全委は、原発4基が安全停止状態を維持しており、放射線レベルも平常時の水準を維持していることを確認した説明した。

寿都町長、核ごみ精密調査も意欲 処分場選定の第3段階

2020/9/3 22:39 (JST) 協同通信 WEB

9.jpg原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査応募を検討している北海道寿都町の片岡春雄町長は3日、同町で鈴木直道知事と会談し、第3段階に当たる精密調査に意欲を示した。

これまでは第2段階の概要調査までしか意欲を示していなかった。

処分場選定は3段階あり、過去の地震履歴などを資料で調べる文献調査が2年程度続き、最大20億円の交付金が支払われる。次にボーリングなどで地質や地盤を調べる概要調査に進むと約4年かかり、交付金は最大70億円。最後の精密調査は約14年かかり、地下深くに施設を設置し、処分場建設に適しているかどうか判断される。

もんじゅ敷地に研究炉新設 出力1万kw未満、文科省

2020/9/2 19:18 (JST)9/2 19:29 (JST)updated 共同通信 WEB

e96b368ea9a112b491bd2ec8a8aecb01.jpg文部科学省は2日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の敷地に、熱出力1万キロワット未満の試験研究炉を建設する方針を固めた。

今後の原子力開発や人材育成の中核拠点とする。2021年度予算の概算要求に設計費を盛り込み、22年度に詳細設計を始める。建設費は約500億円。

 もんじゅの運営主体の日本原子力研究開発機構や大学が加わる共同事業体が運営する。発電はしない。

将来的な運転継続が難しい京都大複合原子力科学研究所の研究炉「KUR」(大阪府熊取町)が担ってきた医学、材料分野などの利用を見込み、西日本の研究開発の中核に位置付ける。

高速炉設計で「耐震性確保」 もんじゅと異なる炉型

2020/9/1 18:57 (JST) 共同通信 WEB

02.jpg日本原子力研究開発機構は1日、フランスと共同で進めてきた高速炉開発で、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)とは異なる炉型の設計概念を検討し、耐震性や安全性などが成立する見通しを得たと発表した。

 機構によると、2014~19年の共同研究で、廃炉作業中のフランスの原型炉「フェニックス」と実証炉「スーパーフェニックス」の設計データを譲り受けた。

もんじゅと同様に冷却材にナトリウムを使うが、もんじゅの「ループ型」と異なる。

原子炉容器が大きく耐震性確保が難しいとされていたが、容器の壁を厚くするなど設計を変更すると耐震性が確保できるという。

福島沿岸部の再生へ移住促進要望 知事、避難解除方針の提示も

2020/8/30 19:02 (JST)8/30 19:07 (JST)updated 共同通信 WEB

unnamed.png福島県の内堀雅雄知事は30日、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除後も住民帰還が進まない県沿岸地域の再生に向け、移住促進や営農再開支援を政府に要望した。

帰還困難区域の指示解除方針も早急に示すよう求めた。福島市内で開かれた原発事故からの復興に関する国や自治体との協議会で語った。

 田中和徳復興相は「本格的な復旧復興の動きが進みつつある。来年度以降も国が前面に立って取り組む」と強調した。

帰還困難区域の指示解除方針について、梶山弘志経済産業相は「遅れることなく時間軸を示しながら、政策の方向性を検討していきたい」と述べた。