安倍氏と、9年前に危機に直面した「菅首相」との奇妙な共通点【コメントライナー】

2020年04月05日09時00分 時事通信 WEB

キャプチャ.PNG◆政治アナリスト・伊藤 惇夫◆

 今、日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスの猛威の中、多数の人命が危機にさらされ、不安と恐怖に直面している。

日本に限って言えば、あの2011年3月11日の東日本大震災と、それに続く福島原発の水素爆発によって、国家崩壊すら想起させた大惨事に続いての危機である。

◆震災が延命させた菅政権

これほど短期間のうちに2度も「悪夢」のような事態に直面するとは、誰も想像しなかったに違いない。

 あの東日本大震災の時、政権の座にあったのは民主党・菅直人首相だったことは、まだ多くの人が記憶にとどめているだろう。

 そして、今は自公連立による安倍晋三政権。実は、この二つの危機直面政権、見方によっては、奇妙な共通点がある。

東日本大震災の直前、菅政権はすでに風前の灯だった。唐突な消費増税提起、自身の外国人からの献金問題、尖閣諸島での中国漁船衝突問題への対処などに批判が高まり、内閣支持率は20%台にまで落ち込み、民主党内からも「菅おろし」の動きが加速化していた。

 ところが、あの大震災が発生、辞任問題は棚上げとなり、結局、菅政権は状況がある程度落ち着いた2011年9月まで「延命」したという経緯がある。

確かに、あの時の菅政権の対応には、さまざまな批判がある。安倍首相が事あるごとに「悪夢のような民主党政権」とこき下ろす時、多くの国民は「あの政権」を思い出すのではないか。では、その安倍政権はどうなのか。

◆いくつもの「アキレス腱」

新型コロナウイルスの問題が発生する前、安倍政権はかなりの苦境に追い込まれていた。それこそ「アキレス腱」になりかねない問題をいくつも抱えていたことは事実だ。

 「桜を見る会」の疑惑は収まるどころか、広がる一方だったし、河井克行、案里夫妻をめぐる公選法違反問題も政権を直撃しつつあった。

 加えて「官邸の守護神」とも称される人物の強引な定年延長問題も、政権批判を引き起こしていた。菅政権ほどではないにしても、内閣支持率もじり貧状態。

そこに持ち上がったのが、新型コロナウイルス問題である。加えて、森友問題で自殺に追い込まれた近畿財務局の赤木俊夫さんの遺書、手記の公開は、もしもコロナ問題がなければ、政権を崩壊させるほどの材料となっていたかもしれない。

 今はコロナとの闘いが最優先だが、そう遠くない時期に収束を迎えることになれば、安倍政権にとって、これらの問題が再び、鋭い刃となって、襲い掛かる可能性は否定できない。

(時事通信社「コメントライナー」2020年3月31日号より)