停止から間もなく9年の東海第二 新たなリスク 運転未経験者が2割

2020年1月31日 東京新聞 WEB

PK2020013102100069_size0.jpg原子力規制委員会は二十九日夜の臨時会合で、東海第二原発(東海村)を運営する日本原子力発電(原電)の村松衛社長と意見交換した。村松氏は、東海第二が停止してから間もなく九年で、運転経験のない運転員が二割に上ると明かし、若手の教育訓練に課題があると語った。

老朽原発の東海第二の抱えるリスクが、また一つ浮かび上がった。 (宮尾幹成)
 原電経営陣と規制委の意見交換は約二年ぶり。原電からは村松氏と剱田(けんだ)裕史副社長が出席し、安全性向上対策の取り組みなどを説明した上で、更田(ふけた)豊志委員長らの質問を受けた。

東海第二は二〇一一年三月の東日本大震災で自動停止した後、五月に定期検査に入ったまま再稼働していない。原電によると、現在約四十人いる運転員の二割が震災後に入社した社員。一四、一五年度に新規採用を控えたことで、運転経験者との年齢ギャップも生じているという。

 村松氏は「運転や定期検査の経験者が減少し、高齢化している。若手社員の経験不足が感じられる」と指摘。対策を尋ねた田中知(さとる)委員長代理に対し、実践的な訓練を積ませるため、先行して再稼働している電力会社への派遣などを進めていると説明した。

 石渡明委員は、昨年の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の審査会合で、提出書類に千カ所以上のミスがあったことを問題視。「資料が間違っていると審査そのものができない。反省して、今後は間違いのないように」とくぎを刺した。

 一八年には、東海第二の原子炉内の核燃料の位置を示すデータが四十年以上にわたり誤っていたことも判明している。村松氏は「重く受け止める」と述べ、再発防止を約束した。

石渡氏は、原電が説明した自然災害への備えが地震に偏っているとして、「津波、火山噴火、竜巻や台風など、いろいろな災害に気を配って」とも求めた。

 山中伸介委員は、重大事故を未然に防ぐための現場からの改善報告の件数が少ないとして、「現場でスクリーニング(ふるい分け)してしまっているのでは。気付いたことは小さなことから記入してもらうように」と促した。

 更田氏は、溶け落ちた核燃料の取り出しなど困難な作業を控える東京電力福島第一原発の廃炉にどう関わっていくかを質問。村松氏は「グループ全体で約百三十人の要員を福島に送っている。福島第一の安定化に対する貢献、支援は業務の重要な柱だ」と語った。

 伴信彦委員は、原発事故に備えた地域防災への取り組みとして、「医療者が医療行為に専念できるよう、事業者としてもサポートを」と注文した。

村松氏は規制委との意見交換後、東海第二の事故対策工事の終了時期を二〇二一年三月から二二年十二月へ延期したことに関し「経済性は確保できる」と述べ、再稼働すれば工事費は回収できると強調した。記者団の取材に応じた。原電は今月二十八日に、工事期間の延長を表明していた。

 東海第二は、一八年九月に再稼働の前提となる規制委の審査に適合。事故対策とテロ対策(二三年十月が設置期限)の工事に計約三千五百億円かかるとみられている。

 村松氏は工程の工夫などで「工事費は変わらない」と説明。東海第二は運転開始から四十一年を超えており、法律では六十年になる二〇三八年までしか運転できない。

 原電は、東京電力福島第一原発事故後、原発を一基も動かせず経営が悪化。工事費は東京電力と東北電力などから支援を受ける。