経産相、宮城知事に地元同意を要請 女川2号機再稼働巡り

2020年02月28日金曜日 河北新報 WEB

20200227D.jpg原子力規制委員会が新規制基準への適合を認めた東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、同県石巻市)の再稼働を巡り、村井嘉浩宮城県知事は27日、梶山弘志経済産業相から可否を問う「地元同意」を要請されたことを明らかにした。
 村井知事は同日午前、梶山経産相から電話連絡を受けた。安全性を議論した規制委の審査過程や、安定したエネルギー供給の必要性を理由に、再稼働への理解を求められた。
 地元同意は、国が立地自治体の考えを確認する重要な手続き。資源エネルギー庁長官らが近く、県庁を訪れ、要請内容を説明する。村井知事は「長官から改めて内容を聞きたい」との談話を出した。

規制委は26日、女川2号機再稼働の前提となる審査で正式合格を出した。村井知事は同日の取材に「(再稼働の可否は)現時点で白紙だ」と述べ、県議会や市町村長らの意見を集約して判断する考えを示した。
 東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新基準に合格した原発は東北で初めて。東日本大震災で被災した原発では、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)に続いて2基目となる。

33都道府県、放射性物質を検査 国要求以外の食品、自主的に

2020.2.27 21:03 共同通信 WEB

キャプチャ.PNG東京電力福島第1原発事故を受けて、33都道府県が、国が要求する品目以外の食品について自主的に放射性物質の検査を行っていることが27日、共同通信のアンケートで分かった。

いずれも食の安全・安心の確保を理由に挙げる。ただ放射性物質が検出されない中で検査を続けることに負担感を訴える自治体もあり、有識者は国が打ち切りの判断を示すべきだと指摘する。

 国の原子力災害対策本部のガイドラインは、東日本の17都県に野生のキノコや水産物などの検査を課している。

対象外の地域や品目を調べる費用は自治体の負担となる。

東北電力女川原発2号機 正式合格 東北の原発初 規制委決定

2020年02月27日木曜日 河北新報 WEB

キャプチャ.PNG原子力規制委員会は26日の定例会合で、停止中の東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)が新規制基準に適合していると認める「審査書」を決定した。東日本大震災で被災した女川2号機が、再稼働の前提となる審査に正式合格したことになる。

東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新基準に合格したのは東北の原発で初めて。震災の地震や津波で被災した原発では、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)に続き2基目。
 東北電は設備の耐震性向上や海抜約29メートルの防潮堤建設といった安全対策工事を終える2020年度以降の再稼働を目指す。ただ、地元自治体の同意手続きや、重大事故を想定した広域避難計画の実効性などが焦点となり、工程通りに進むかどうかは不透明だ。

安全対策工事費は現時点で3400億円程度に膨らんだ。テロ対策として今後建設する「特定重大事故等対処施設」も含めると、さらに増大する見通し。
 規制委は全会一致で審査書を決定した。更田豊志委員長は会合後の記者会見で「被災の影響は確認した上で新基準を満たしていると判断した」と述べた。

審査の三つのプロセスのうち、女川2号機は基本設計に関する「原子炉設置変更」をクリアしヤマ場を越えた。今後は詳細設計を示した「工事計画」、設備の運転管理を定めた「保安規定」の認可を目指す。

 東北電は13年12月に女川2号機の審査を申請した。被災原発として固有の課題が多く、議論は長期化。176回に上る審査会合を経て19年11月に審査書案が了承され、事実上「合格」となっていた。

 合格を受けて国は近く、再稼働に関する「地元同意」を村井嘉浩宮城県知事に要請する見込み。村井知事は県議会や市町村長などの意見を踏まえ、20年度にも判断を示すとみられる。

これまでに再稼働した5原発9基は「加圧水型炉」。女川2号機と同じ「沸騰水型炉」は既に合格した東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)、東海第2原発がともに手続きが進んでおらず、女川2号機が先んじる可能性もある。

 東北電の原田宏哉社長は「再稼働に向けた一つの大きな節目を迎えた。さらなる安全性向上に取り組み、地域のご理解をいただきたい」との談話を出した。

廃炉産業参入へ『入門書』 経産省支援策、地元企業に情報提供

2020/2/25 08:50 (JST) 福島民友 WEB

無題.png東京電力福島第1原発の廃炉作業を巡り、経済産業省は24日、浜通りなど地元企業の参入を進める新たな支援パッケージを示した。新年度から、地元企業を活用する廃炉研究開発を国の補助事業で優遇するほか、地元企業向けに参入に役立つ情報冊子を作成。廃炉現場のニーズと地元企業の技術力を引き合わせる人材も新たに配置し、効果的なビジネスマッチングを支援する。

福島市で開かれた原子力災害からの福島復興再生協議会で梶山弘志経済産業相が明らかにした。廃炉を重点分野の一つに位置付ける福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の一環。長期間に及ぶ廃炉に携わる企業を増やし、地域産業の活性化を図る狙いだ。
 エネ庁は、公募の中から決まる国の廃炉研究開発事業で、評価項目に地元企業との協働の項目を追加して加点する。元請け企業に地元企業との協働意欲を高めてもらう狙いで、浜通りなど15市町村の企業との取り組みが対象となる。

情報冊子は官民合同チームが作成。廃炉関連の資機材・部品に求められる品質やサポート窓口などの情報を記載し、参入を検討している製造業者向けに「入門書」として配布する。イノベ機構は、参入の調整役を担う「コーディネーター」を配置。元請け企業に地元企業の情報、地元企業には廃炉関連情報を提供するなど、両者のマッチングを効果的に支援する。

イノベ構想を巡っては、地元企業への経済効果が見えにくいなどの課題がある。内堀雅雄知事は同協議会後「地元企業が関われる形をつくっていくことが重要。県としても国の対応と連動しながら地域産業の活性化に取り組む」と述べた。

廃炉原発で老朽化検証 今後相次ぐ「運転40年超」 規制庁、延長申請備え部材分析

2020/2/24付 日本経済新聞 朝刊 WEB

AS20171222004501_comm.jpg原子力規制庁は2020年度から、廃炉になった原子力発電所の材料を利用し老朽化の研究を始める。

原子炉など取り換えが難しい設備を中心に放射線や熱の影響などを調べる。

運転開始から40年を迎える原発は30年までに11基に達する。

20年代に電力会社による運転延長申請が相次ぐとみられ、審査に備えて設備や材料の健全性を評価する能力を高める狙いだ。

福島第一原発の廃炉作業 作業員がなりすまして被ばく測定

2020年2月20日 21時31分 NHK WEB

K10012294471_2002202128_2002202131_01_02.jpg東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業に従事する協力企業の作業員が、定期的に受けることが義務づけられている被ばく測定を、他の作業員になりすまして受けていたことが分かり、東京電力はほかにも同様の不正がないか調べることにしています

東京電力によりますと19日午前、廃炉作業に従事している協力企業の30代の男性作業員が、部下の20代の作業員の許可証を持って福島第一原発の構内に入りました。

そして、3か月に1度受けることが法令で義務づけられている体内の被ばくを調べる測定を、本人になりすまして受けたということです。

男性作業員は部下の作業員が長期間仕事を休んでいて、3か月の期限までに測定を受けないと、原発の立ち入りが認められず作業ができなくなることから、本人になりすましたと説明しているということです。

不正は男性作業員みずから申し出て明らかになり、東京電力に対して「部下がいないと元請けなどに迷惑がかかるのでしてしまった」と不正を認めているということです。

東京電力は個人が特定されるとの理由で協力企業の社名など詳細は公表していません。

東京電力は富岡労働基準監督署に不正について報告するとともに、協力企業に聞き取りなどをしてほかに同様な不正がないか調べることにしています。

フランス最古の原発、運転終了 依存率引き下げへ一歩

2020/2/22 17:04 (JST 共同通信 WEB

キャプチャ.PNG【フェッセンハイム共同】フランス電力(EDF)は22日、国内で稼働する原発のうち最も古い東部フェッセンハイム原発の1号機の運転を終了した。6月30日に停止する2号機と共に廃炉となる。

国内で商業用原発の稼働終了は1994年以来。現在約70%の原発依存度を50%へ徐々に引き下げる方針のマクロン政権は一歩を踏み出したが、実現は長い道のりだ。

 77年に運転を開始した同原発は、加圧水型軽水炉2基で出力各約90万キロワット。

2011年の東京電力福島第1原発事故後は、地震の危険のある立地条件などを不安視する声が強まった。

福島県沖 魚介類で唯一出荷制限「コモンカスベ」来週にも解除

2020年2月22日 4時39分 NHK WEB

キャプチャ.PNG東京電力福島第一原発の事故のあと、福島県沖の魚介類の中で唯一、続いていた「コモンカスベ」の出荷制限が来週にも解除される見通しになったことが関係者への取材で分かりました。

東日本大震災から9年を前に、福島県沖の魚介類の出荷制限がすべて解除されることになり、漁業の復興に向けた大きな弾みになりそうです。
9年前の原発事故を受けて、国は、福島県沖の魚介類のうち44種類の出荷を制限しましたが、これまでに43種類は解除し、残りはエイの仲間、「コモンカスベ」だけとなっています。

コモンカスベは去年1月の時点では、国の放射性物質の濃度の基準、1キログラム当たり100ベクレルを超えていましたが、去年2月から先月にかけて県が福島県沖で取れたコモンカスベ1008匹を検査したところ、1001匹は検出できる値を下回り、残りの7匹も最も高くて17ベクレルと国の基準を大きく下回りました。

出荷制限の解除は福島県の申請を受けて国が最終的に判断しますが、複数の関係者によりますと、早ければ今月25日にもコモンカスベの制限が解除される見通しになったということです。

福島県沖の漁業は、現在、福島第一原発から半径10キロより外の海で回数を制限して行われていて、水揚げ量は少しずつ回復していますが、去年は震災前の14%ほどとなっています。

東日本大震災から9年を前に、福島県沖の魚介類の出荷制限がすべて解除されることは、漁業の復興に向けた大きな弾みになりそうです。

原発処理水の政府報告書「白紙で検討を」 大井川茨城県知事、海洋放出案に反発

2020年02月20日16時37分 時事通信 WEB

unnamed.jpg東京電力福島第1原発から出る汚染水を浄化した放射性物質が残る処理水をめぐり、内閣府の担当者らが20日、茨城県の大井川和彦知事と面会し、政府の小委員会が1月末にまとめた報告書について説明した。

報告書案は汚染水の海洋放出を「現実的な選択肢」としており、大井川知事は「白紙の段階で検討し直してほしい」と訴えた。

大井川知事は冒頭、「海洋放出案には納得できない。われわれに漁業を辞めろということか」と強く反発。その後、報告書を取りまとめた経緯などについて、担当者から説明を受けたという。

東電、福島第1原発を公開 汚染処理水のタンクが林立

2020/2/19 21:23 (JST)2/19 21:28 (JST)updated 共同通信 WEB

origin_1.jpg東京電力は19日、事故発生から来月で9年を迎える福島第1原発を報道陣に公開した。

敷地には放射性物質に汚染された水を浄化した処理水のタンクが林立していた。溶け落ちた燃料の取り出しなどが今後本格化する中で、作業への影響が懸念される。

 公開したのは発電所の南西に位置するエリアで、高さ約12メートル、直径約12メートルの円筒形のタンクなど千基程度が立ち並ぶ。タンクとタンクの間隔は、一番狭い所で大人が両手を広げた程度しかないほど密集し、東京電力の担当者は「発電所のスペースに余裕がなくなり廃炉作業に支障が出る可能性がある」と説明した。

電事連会長に池辺和弘氏が就任へ 九電社長、原発再稼働を推進

2020/2/18 10:31 (JST) 共同通信 WEB

mca1903120500002-p2.jpg大手電力会社で構成する業界団体、電気事業連合会の新会長に九州電力の池辺和弘社長が就くことが18日、分かった。

勝野哲会長が中部電力社長を退任するためで、東京電力、関西電力、中部電以外からの電事連会長は初めて。各社の原発再稼働を推進するため、4基を再稼働させた九電の経験を生かす。3月中旬に就任する見通し。

電事連は、東電と関電、中部電の3社からトップを選んできた。

2011年の東電福島第1原発事故以降は関電と中部電が交互に会長に就任。19年に関電社長の岩根茂樹氏が同社の金品受領問題で会長職を辞任し、19年6月まで会長を務めていた勝野氏が急きょ再登板していた。

UAE、原発稼働を許可 アラブ諸国で初

2020/2/17 22:01 (JST) 共同通信 WEB

19071613365814854.4.jpg【カイロ共同】アラブ首長国連邦(UAE)の原子力規制当局は17日、西部ブラカ原子力発電所の1号機の稼働を許可した。国営の首長国通信が伝えた。

稼働開始時期は明らかにされていないが、原発稼働はアラブ諸国で初となる。運転期間は最長60年としている。

アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子はツイッターで「平和的な原子力エネルギー発展の新たな章」と歓迎した。
 今後、試験運転を経て正式に稼働する。建設中の原子炉も含め計4基全てが稼働すれば、国内の電力需要の25%に当たる5600メガワットを発電できる見通しという。

国内の全原発を「廃炉に」 脱原発求める首長らが声明

2020年2月16日 午後8時09分 福井新聞 WEB

KIMG3639-scaled.jpg脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は16日、福井県敦賀市で記者会見し、核燃料サイクルを柱とする原子力政策を見直し、国内の全原発を廃炉にするよう求める緊急声明を発表した。

近く国に要請する。
 日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働条件となる審査を原子力規制委員会が進めていることを受けた声明。

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)はトラブルが相次ぎ廃炉となるなどしており、元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。

震災と原発事故から来月で9年 子どもの支援考えるシンポ

2020年2月15日 21時03分 NHK WEB

0311sinsai.jpg東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた当時、小中学生だった若者と、心のケアにあたってきた臨床心理士などが福島県でシンポジウムを開き、災害の際の子どもの支援の在り方について「家庭や学校以外で本音を話せる場が必要ではないか」などといった意見が出されました。

シンポジウムは震災と原発事故から来月で9年になるのを前に、子どもの心のケアの在り方を考えようと、福島県内の精神科医や臨床心理士などでつくるNPOが郡山市で開きました。

この中で震災当時、福島県の沿岸部の小中学校に通っていた若者4人がこれまでを振り返り、「他県に転校した時、福島で被災したというのを意識せずにみんなが普通に接してくれてうれしかった」などと体験を語りました。

一方で「メディアの取材などを通して、『自分も復興に貢献しなければ』というプレッシャーを感じた時もあった」という意見も出されました。

このあと臨床心理士などが加わって議論が行われ、災害の際の子どもの支援の在り方について、「家庭や学校以外で本音を話せる場が必要ではないか」などといった意見が出されました。

小学5年生の時に富岡町から県外に避難した男子大学生は「震災後の人生を振り返ることで、自分が何を感じていたのか整理できた気がします」と話していました。

主催したNPOの理事長の冨森崇さんは「震災から10年を前に、今後も若者らの意見を参考にしながら、今までの支援の在り方を検証していきたい」と話していました。

5時間で年間限度に達する放射線…福島第一原発の今

2020/02/14 23:41 読売新聞 WEB

bfc1147f3954495c923facdb76c70fd3_17.00066.jpg011年の東京電力福島第一原子力発電所事故から、約1か月後に9年となる14日、同原発構内を取材した。汚染水を浄化した処理水をためる巨大な円筒形のタンクが林立し、改めて廃炉までの道のりの長さを実感した。(科学部 井上亜希子)

 この日、敷地の南東のエリアでは、高さと直径がともに約12メートルの鋼
はがね
製タンクの建設が進んでいた。設置を予定する場所には、できるだけ隙間なく建てるため、六角形の線が引かれていた。二つのタンクの間に立つと、威圧感を覚えた。

現在、東電はタンク約1000基に処理水約118万トンを保管する。2020年末までに137万トン分を確保する予定だが、東電の試算によると、22年夏には満杯になる。

 政府の有識者会議は今月10日、希釈して海に流す海洋放出と蒸発させて大気に拡散させる水蒸気放出を提言する報告書をまとめた。政府は今後、具体的な処分方法や時期を決めるが、処分量や開始時期によっては数年~約30年かかる。

 東電は原子炉内で溶けた燃料などを冷やした汚染水から、トリチウム以外の放射性物質をほぼ取り除いている。その作業に使う「多核種除去設備(ALPS)」を見学すると、汚染水から放射性物質を除去する円筒状の吸着塔が並んでいた。

これに先立ち、水素爆発を起こした3号機原子炉建屋の屋上に上った。南側を見下ろすと、爆発時のがれきが二つの建屋の間に残っていた。線量計を見ると、放射線量は毎時最大約0・2ミリ・シーベルトで、5時間で年間限度に達する量だった。

北海道泊原発、雪害想定し訓練 孤立集落で住民救出 30キロ圏外へ避難

02/13 12:36  北海道新聞 WEB

キャプチャ.PNG北海道電力泊原発(後志管内泊村)で厳寒期に重大事故が起きたことを想定した住民避難の実動訓練が13日午前、原発から30キロ圏内の後志管内13町村や周辺地自治体で始まった。

今回は初めて雪崩との複合災害を想定し、住民ら約1万人が参加。このうち泊村など7町村の約600人はバスなどで30キロ圏外に避難し、周辺自治体は受け入れ訓練を実施した。

 道と、原発5キロ圏内の予防防護措置区域(PAZ)に居住者がいる泊村、共和町を含む計13町村の主催。自衛隊や道警、病院など約400機関が参加した。訓練は、周辺で雪崩が発生する中、泊原発3号機が原子炉を冷却できない「全面緊急事態」に至り、放射性物質が放出された―との想定で進められた。

【風評の深層・トリチウムとは】眼前に「処理水」...77万ベクレル

2020年02月12日  福島民友 WEB

20200212.jpg.png東京電力福島第1原発事故から10年目が迫るのに、福島を巡る言われなき風評が依然、復興にブレーキをかけている。これほどまでに根強いのはなぜか、その深層に横たわる要因を解き明かしたい。折しも放射性物質トリチウムを含む処理水の処分について政府の小委員会が海洋放出を強調した提言をまとめ、新たな風評必至という見方が広がった。風評を止めるすべはないのか。連載第1部は、トリチウムの実態を追う。
 弱い放射線、振れない針
 「この中にトリチウムが含まれているのか」。東京電力福島第1原発にある化学分析棟に入り、放射性物質トリチウムを含む「処理水(トリチウム水)」と初めて対面した。処分方法を巡り、国内外で議論の的となっている処理水。見た目は無色透明、ただの水のようだ。

第1原発で発生する汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化され、処理水としてタンクで保管される。原発事故から丸9年を迎える中、貯蔵量は25メートルプールで2000杯分以上にもなる。しかし、取り扱い方法は決まっていない。立ち並ぶタンク群の映像が「福島の今の姿」として発信され、おどろおどろしいイメージを増幅させてきた。
 そもそもトリチウムとは、どんな物質なのか。
 「これが処理水です」。理科室のような分析棟で、担当者として取材に同行した資源エネルギー庁の木野正登廃炉・汚染水対策官が、約1リットルの処理水の入った容器を指さした。トリチウム濃度は1リットル当たり約77万ベクレル。第1原発で保管されている処理水の平均濃度と同程度だ。

担当者が容器からビーカーに流し入れた。記者は、東電所有の検出器を借りて水面に近づけ、処理水から放出される放射線量を測った。検出器の針はほとんど振れない。分析棟内の空間線量とほぼ同じ毎時0.04マイクロシーベルトだ。
 次は綿手袋の上にゴム手袋をした両手で、ビーカーに触れた。マスクをして顔を水面から十数センチまで近づけた。臭いはない。「こんなに近づいても大丈夫なんだ」。処理水を見つめる記者に、担当者は「トリチウムが出す放射線のエネルギーは弱く、紙1枚でも防げる。まして水中では、ほとんど進むことができない」と説明した。
 トリチウム水は普通の水と化学的な性質がほぼ一緒だ。そのため、水に含まれていると除去するのが難しい。科学者からは「砂山から違う砂を一粒ずつ見つけて取るようなものだ」という指摘もある。
 トリチウムは放射性物質を扱う原発の通常運転でも発生する。日本や韓国、フランスなどでも基準を守った上で放出されている。しかし、あまり知られていないのが現状だ。

トリチウムが出す放射線の弱さについては、東電や国も説明を続けてきた。だが、説明が現場実態に合っていると感じられたのは、こうして目の前で見たからだ。第1原発で処理水を見ることができるのは分析棟だけで、今回は特別な許可を受けた取材だ。「第1原発の視察者にもっと見てもらうべきではないか」。分析棟の帰り際、担当者に問うと、こう答えた。「処理水を入れた容器を第1原発に置き、視察者に線量を測って見てもらうようなことができないか、東電と話している。放射線量を測ることで、その弱さを分かってもらえるはず」。処理水やトリチウムについてもっと知ってもらう機会が必要だ。
 説明不足招いた『不信感』
 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)は、トリチウム以外の62種類の放射性物質の濃度を下げられる。だが、現状での処理水にはトリチウム以外の放射性物質も除去されずに残り、大半は放出の法令基準値を上回る。海洋放出など処分策の問題点として指摘され、「風評を呼ぶ」と批判を招いている。

「(空間線量は)毎時30マイクロシーベルト」。取材に同行した資源エネルギー庁の担当者、木野正登廃炉・汚染水対策官と、化学工場のようなALPS内を歩いた。設備の稼働音が大きい。複数の大型タンク、筒状や箱形の設備などが並び、防護服にヘルメット、全面マスク姿の作業員が数人ほど作業に当たっている。
 汚染水は原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を水で冷やしたり、地下水が原子炉建屋に入ってデブリに触れたりして発生する。ALPSでは汚染水の放射性物質を沈殿させたり、吸着剤に通したりする。
 この吸着剤の交換頻度を上げて汚染水の処理量を減らせば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を環境中に放出する基準値未満まで浄化できる。しかし、国や東電は、吸着剤の交換頻度を下げ、処理量を増やす運用を優先した。タンクに高濃度汚染水があり、まずは廃炉作業を進める上で作業員の被ばく量を減らす必要があったからだ。「放出の基準値未満ではなく、原発敷地境界の空間線量が年間1ミリシーベルト未満となるのを優先した」と担当者。トリチウム以外の放射性物質が基準を超えるのは、処理水の貯蔵量のうち約7割に及ぶ。

処分前の処理水再浄化「前提」
 国や東電は、この事実を公表はしていた。しかし、県民や国民に詳しく伝わっていなかった。このため2018年8月に県内外で開かれた処理水に関する公聴会で批判が噴出。「説明不足だ」「トリチウムだけという議論の前提が崩れた」。県民らの不信感、不安感が募る形となり、情報公開の在り方が問われた。
 現在は吸着剤の交換頻度を上げて運用されている。東電は今後、処分方法が決まった場合、処分前に基準値未満までALPSで再浄化する方針を示している。
 1月31日の政府小委員会。大筋で了承された提言案にも「十分な処理がなされているとは言えず、浄化処理を終えたALPS処理水とは言えない」と明記された。その上で、委員はくぎを刺した。「2次処理(再浄化)が完璧であることが前提。風評被害の基になる実害を絶対に起こさないようにしてほしい」

化石燃料削減 脱原発との両立目指せ

2020年2月12日 中日新聞 WEB

image1-2.png欧州連合(EU)とドイツが石炭など化石燃料の大幅削減計画を発表した。ただ、そのために、原子力を活用しようとの声が出ているのが気掛かりだ。脱化石燃料、脱原発の両立を進めるべきだ。

 欧州委員会が先月発表した計画によると、域内の温室効果ガス排出を二〇五〇年に実質ゼロにする目標達成のため、今後十年で少なくとも一兆ユーロ(約百二十兆円)を投資し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を支援する。

 ドイツ政府も、石炭を産出する四つの州と三八年までに脱石炭を実現させることで合意した。事業者への補償などのため、四百億ユーロ(約四兆八千億円)を拠出する。

ただEUにはフランス、チェコなど、化石燃料削減のため原子力の活用を表明している国もある。将来、原発がEUの補助対象になりかねないとの懸念も出ている。
 二二年までの原発全廃を決めているドイツですら、脱原発への異論が出始めた。メルケル首相与党の保守、キリスト教民主・社会同盟の広報担当者は、温暖化防止のため原発延命を容認する考えを示した。これに対し、メルケル政権は予定通り脱原発を貫く方針を強調。世論でも原発延命論は大きな声とはなっていない。

原子力の活用は、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を引用する形で「原子力は、脱石炭を目指すエネルギー問題のささやかな解決策になり得る」とフェイスブックに投稿して以来、改めて注目されるようになった。

 しかし、東京電力福島第一原発事故を思い出してほしい。原発は制御できず、汚染は生活全般を破壊する。IPCCの報告書も、原子力には「障壁とリスクが存在する」と指摘している。
 事故を教訓に、ドイツは脱原発へとかじを切った。化石燃料削減を原子力に頼るべきではない。

化石燃料の代替となるべき再生可能エネルギーがドイツの全発電に占める割合は昨年、46%に上り、初めて化石燃料の発電量を上回った。三〇年に全発電量の65%を目指すとの目標にも着実に近づいている。

 ドイツ南西部の原発は昨年末、計画通り稼働を停止した。
 ドイツは、化石燃料削減による温暖化防止と、脱原発の両立を目指してEUをリードしてほしい。EUによる原発への補助などもってのほかである。

原発処理水、海や大気「現実的」政府小委員会が報告書公表

2020/2/10 20:17 (JST) 共同通信 WEB

2019111500002_4.jpg東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分方法などを検討する政府小委員会は10日、海洋や大気への放出が現実的な選択肢だとする報告書を正式にまとめ公表した。

海洋放出に関しては技術面から「より確実に処分できる」と提言しており、政府は今後、地元関係者らの意見を聴くなどして処分方針を決める。
 小委は3年余りの議論を経て今年1月、報告書案を大筋了承していた。

処分方法では、国内外で実績がある海洋や大気への放出を評価。うち海洋放出は、大気と比べ放射線監視体制の構築や放出設備の設計、運用が容易だとしている。

小泉氏、避難解除前の双葉町へ 常磐線駅視察、「後押ししたい」

2020/2/9 18:18 (JST) 共同通信 WEB

20200209_tn_ns03-thumb-1920x1080-10556.jpg小泉進次郎環境相は9日、東京電力福島第1原発事故による避難指示が3月4日に一部解除される福島県双葉町を訪れ、約9年ぶりの全線復旧に向け整備中のJR常磐線双葉駅周辺などを視察し「(復旧で)今までなかった産業が来る。後押ししたい」と述べた。

 同線は、不通だった富岡―浪江間が3月14日に運行再開する。

双葉駅周辺を案内した伊沢史朗町長は「一歩踏み出せる状況になってきた。住民帰還目標は2022年春だ」と話し、小泉氏は「暮らしの再建には壁が多くある。地域の皆さんが戻れるよう全力の支援を行う」と応じた。

小泉氏は、帰還困難区域の飯舘村長泥地区にも足を運んだ

敦賀原発2号機 資料不備で審議見送り 原子力規制委

2020年2月7日 22時49分 NHK WEB

K10012277621_2002072236_2002072249_01_02.jpg福井県にある敦賀原子力発電所2号機について7日、原子力規制委員会の審査会合が開かれ、日本原子力発電は、原発の真下を通る断層に関してボーリング調査の新たな結果を示し、「活断層だと指摘されている近くのほかの断層と連続性はない」と主張しました。これに対して規制委員会は、資料に不備があるとして、7日の審議を見送りました。
日本原電が再稼働を目指す敦賀原発2号機をめぐっては、5年前から原子力規制委員会の審査が続いていて、原子炉建屋の真下を通る断層の評価が焦点の1つとなっています。

7日の審査会合で、日本原電はこの断層について、ボーリング調査の新たな解析結果を示し、「活断層だと指摘されている近くにあるほかの断層との連続性は認められない」と改めて主張しました。

しかし、提出した資料に過去に日本原電が規制委員会に示したボーリング調査のデータが記載されていないことがわかり、委員からは比較ができないなどとして、資料の不備を指摘する意見が出されました。

規制委員会は、日本原電に対して、改めて資料の提出を求め、7日の審議を見送りました。

日本原電は「誤解を与えたところはプロセスが分かるよう、新旧のデータを今後、しっかり説明していきたい」としています。

伊方原発停電トラブル 冷却装置43分間停止 核燃料異常なし

2020年2月7日 4時18分 NHK WEB

K10012275921_2002070012_2002070418_01_02.jpg先月、愛媛県伊方町の伊方原子力発電所で起きた停電トラブルで、核燃料を保管するプールの冷却装置が43分間、停止していたと四国電力が発表しました。1度余りプールの温度が上昇しましたが、核燃料に異常はなかったということです。

先月25日、定期検査中だった伊方原子力発電所では、送電に関わる装置の故障が原因とみられる停電を起こし、一時電源を喪失しました。

四国電力の発表によりますと、この停電で3号機にある核燃料を保管するプールの冷却装置が43分間にわたって停止していたということです。

このプールにはプルトニウムとウランを混ぜてつくった「MOX燃料」の使い終わったもの16体と、今後、原子炉に入れる予定のMOX燃料5体を含む、合わせて1504体の核燃料が保管されていました。

四国電力によりますと、冷却装置の停止でプールの温度が1.1度上昇したということですが、プール内にあった核燃料に異常は確認されなかったということです。

四国電力では、引き続き停電発生の原因を詳しく調べています。

廃炉作業員が内部被ばく 東電福島第1原発

2020/2/6 19:57 (JST)2/6 20:09 (JST)updated 共同通信 WEB

26880.jpg東京電力は6日、福島第1原発で廃炉作業に従事していた協力企業の60代男性が内部被ばくしたと発表した。

検査の結果、健康に異常はないとしている。体内に取り込まれた放射性物質による今後50年間の被ばく線量は暫定評価で最大1.18ミリシーベルト。国の基準では、放射性物質を取り扱う原発作業員らの被ばく線量限度は5年間で100ミリシーベルトとされている。

男性は6日午後、第1原発2号機原子炉建屋の大型機器搬入口で7人の作業員と工具の片付けに従事。作業を終え退出する際の検査で、鼻の中に放射性物質が付いているのが分かり、体内にも取り込んでいたことが確認された。

福島県、牛肉全頭検査の緩和決定 農家ごとに年1頭

2020/2/5 16:47 (JST)2/5 16:59 (JST)updated 共同通信 WEB

AS20191223003874_commL.jpg福島県は5日、東京電力福島第1原発事故に伴う県産牛肉の放射性物質検査について、現行の全頭検査から大幅に緩和することを決めた。原則として、畜産農家ごとに年間少なくとも1頭の肉を検査する方式に4月から切り替える

2011年8月の検査開始以降、国の基準値を超える牛肉は出ておらず、消費者理解を得られると判断した。
 県の財政的負担や、食肉処理場での検査の手間を減らすことができる。

4月以降、肉牛として育った牛は出荷後、食肉処理場で畜産農家ごとに年間1頭以上の検査を受ける。

老齢の乳牛や繁殖牛を食肉用に出荷する際は、従来通り全頭検査する。

福島米、旧市町村単位で抽出検査 細分化で不安払拭へ

2020/2/4 21:13 (JST)2/4 21:14 (JST)updated 共同通信 WEB

キャプチャ.PNG東京電力福島第1原発事故後、全ての県産米の放射性物質を調べる「全量全袋検査」を2019年産米を最後に緩和する福島県が、今年秋以降に採用する「抽出検査」を、1950年当時の行政区割りに基づいて行うことが4日、分かった。

 現在、県内には59市町村があるが、50年当時は約400。現行の市町村単位で抽出検査した場合、範囲が広くなり消費者不安を払拭できない懸念があり、細分化するための措置。検査条件緩和によって、検査場にコメを運ぶ農家の負担などが減ることが期待される。

抽出検査を行う箇所数は国と協議して決める。

常磐線・富岡-浪江間 特急での運行訓練始まる 3月14日に再開

2020/02/03 09:33 福島民報 WEB

キャプチャ.PNGJR東日本は二日、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で不通となっている常磐線富岡-浪江駅間で、特急「ひたち」の車両を使った乗務員訓練を開始した。

同区間を特急の車両が通るのは回送列車を除いて震災後初めて。

 訓練は品川・上野-仙台駅間を運行する車両と同じE657系(十両)で実施している。初日の二日には整備工事中の夜ノ森駅を含む富岡-双葉駅間などで訓練した。乗務員が運行時の注意点を確認したほか、駅の設備動作を点検した。

 同社は三月十四日から、特急「ひたち」を品川・上野-仙台駅間で一日上下線計六本運転する。県内は勿来、泉、湯本、いわき、広野、富岡、大野、双葉、浪江、原ノ町、相馬の各駅に停車する。

福島第1原発処理水 風評被害を拡大させない対策を

2020年2月3日(月)愛媛新聞 WEB

8.jpg東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分方法などを議論していた政府小委員会が、提言案を大筋で了承した。検討した五つの処分方法のうち、海洋と大気への放出を「現実的な選択肢」とし、さらに海洋放出の方を「確実に実施できる」と強調した内容となっている。
 福島の復興を進める上で、処理水の処分に早く道筋をつけることは重要だ。しかし、放出による風評被害に対して漁業関係者らの反発や不安は根強い。政府は小委が今後まとめる報告書を基に方針を決めるが、関係者の理解が大前提であり、拙速な判断は避けねばならない。

議論に3年余りをかけた小委では、地層注入、水素放出、地下埋設を含めた五つの処分方法を検討。国内外で前例があるとして海洋と大気に絞り込んだ上で、海洋の方が大気放出と比べ希釈や拡散の状況が予測しやすく、監視体制の構築が容易と評価した。
 処理水には、浄化設備で除去できない放射性物質トリチウムが含まれている。トリチウムは人体への影響が小さいとされ、これまでも四国電力伊方原発など通常の原発から法令で定めた数値内で放出されている。
 ただ、だからといって炉心溶融事故を起こした福島第1原発と、ほかの原発を同一視して判断することはできない。

福島第1原発では、2018年に浄化済みとされていた他の放射性物質が処理水に残留していることが発覚。昨夏には処理水保管タンクの一部で泥状の沈殿物が堆積しているのが判明した。にもかかわらず、東電は小委にこれらの事実を積極的に報告せず、重要な論点が置き去りにされた。東電の情報公開に対する姿勢や現場管理能力にも不安が残ったままだ。

 提言案を受け、地元の漁業関係者らからは反発の声が上がっている。福島県沖では12年に海域と魚種を絞った試験操業を始め、徐々に事故前の姿を取り戻しつつある。仮に海洋放出が始まれば、再び風評被害が拡大する懸念は強い。漁業者にとって死活問題であることは察するに余りある。

小委でも風評被害への危機感を共有し、提言案には周辺環境のモニタリングと食品検査を組み合わせた分析体制を構築するといった対策を強化すべきだと盛り込んだ。関係者から放出への理解を得るには政府や東電が実効性ある風評被害対策を示すことが欠かせない。その上で、納得が得られるまで丁寧に説明を重ねる必要がある。

 処理水のタンクは22年夏ごろに容量が満杯になると試算されている。政府は廃炉を30~40年で終える目標期間内に処分を完了させるべきだと主張するが、廃炉作業は工程遅れを繰り返しており、計画通り進む保証はない。政府と東電はスピードだけにこだわらず、透明性を確保して着実に工程を進めていくことが、国民の信頼醸成につながると認識しておくべきだ。

停止から間もなく9年の東海第二 新たなリスク 運転未経験者が2割

2020年1月31日 東京新聞 WEB

PK2020013102100069_size0.jpg原子力規制委員会は二十九日夜の臨時会合で、東海第二原発(東海村)を運営する日本原子力発電(原電)の村松衛社長と意見交換した。村松氏は、東海第二が停止してから間もなく九年で、運転経験のない運転員が二割に上ると明かし、若手の教育訓練に課題があると語った。

老朽原発の東海第二の抱えるリスクが、また一つ浮かび上がった。 (宮尾幹成)
 原電経営陣と規制委の意見交換は約二年ぶり。原電からは村松氏と剱田(けんだ)裕史副社長が出席し、安全性向上対策の取り組みなどを説明した上で、更田(ふけた)豊志委員長らの質問を受けた。

東海第二は二〇一一年三月の東日本大震災で自動停止した後、五月に定期検査に入ったまま再稼働していない。原電によると、現在約四十人いる運転員の二割が震災後に入社した社員。一四、一五年度に新規採用を控えたことで、運転経験者との年齢ギャップも生じているという。

 村松氏は「運転や定期検査の経験者が減少し、高齢化している。若手社員の経験不足が感じられる」と指摘。対策を尋ねた田中知(さとる)委員長代理に対し、実践的な訓練を積ませるため、先行して再稼働している電力会社への派遣などを進めていると説明した。

 石渡明委員は、昨年の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の審査会合で、提出書類に千カ所以上のミスがあったことを問題視。「資料が間違っていると審査そのものができない。反省して、今後は間違いのないように」とくぎを刺した。

 一八年には、東海第二の原子炉内の核燃料の位置を示すデータが四十年以上にわたり誤っていたことも判明している。村松氏は「重く受け止める」と述べ、再発防止を約束した。

石渡氏は、原電が説明した自然災害への備えが地震に偏っているとして、「津波、火山噴火、竜巻や台風など、いろいろな災害に気を配って」とも求めた。

 山中伸介委員は、重大事故を未然に防ぐための現場からの改善報告の件数が少ないとして、「現場でスクリーニング(ふるい分け)してしまっているのでは。気付いたことは小さなことから記入してもらうように」と促した。

 更田氏は、溶け落ちた核燃料の取り出しなど困難な作業を控える東京電力福島第一原発の廃炉にどう関わっていくかを質問。村松氏は「グループ全体で約百三十人の要員を福島に送っている。福島第一の安定化に対する貢献、支援は業務の重要な柱だ」と語った。

 伴信彦委員は、原発事故に備えた地域防災への取り組みとして、「医療者が医療行為に専念できるよう、事業者としてもサポートを」と注文した。

村松氏は規制委との意見交換後、東海第二の事故対策工事の終了時期を二〇二一年三月から二二年十二月へ延期したことに関し「経済性は確保できる」と述べ、再稼働すれば工事費は回収できると強調した。記者団の取材に応じた。原電は今月二十八日に、工事期間の延長を表明していた。

 東海第二は、一八年九月に再稼働の前提となる規制委の審査に適合。事故対策とテロ対策(二三年十月が設置期限)の工事に計約三千五百億円かかるとみられている。

 村松氏は工程の工夫などで「工事費は変わらない」と説明。東海第二は運転開始から四十一年を超えており、法律では六十年になる二〇三八年までしか運転できない。

 原電は、東京電力福島第一原発事故後、原発を一基も動かせず経営が悪化。工事費は東京電力と東北電力などから支援を受ける。

原発汚染処理水の処分、最終案で2案…「政府が責任もって決定を」

2020/01/31 11:12 読売新聞 WEB

キャプチャ.PNG東京電力福島第一原子力発電所の汚染水を浄化した処理水の処分について、政府の有識者会議(委員長=山本一良・名古屋大名誉教授)は31日、希釈して海に流す海洋放出と、水蒸気にして大気に放出する2案を提言する報告書の最終案を公表した。最終案は技術的観点などから海洋放出の優位性に触れているが、それ以上踏み込まず、処分の開始時期や期間についても「政府が責任を持って決定することを期待する」としている。

この日の会議では委員から異論が出ず、おおむね了承して終了した。今後、正式な報告書としてとりまとめ、政府が処分方法や処分時期の方針を決め、東電が具体的な計画を検討する。

海洋放出は国内外の原発で行われているため、実績があり、放出の設備の取り扱いが容易なことから、「水蒸気放出に比べると確実に実施できる」として強調。ただ、いずれの方法でも風評被害が生じる恐れがあるため、対策の強化と拡充を求めている。具体的には、現在行われている福島県産米の全袋検査のような充実した検査態勢の構築や、農水産物のオンラインストアといった新たな販路拡大の取り組みなどが必要だとしている。
 処理水は、原子炉内の溶融した核燃料を冷却する際に生じた汚染水から、浄化装置でトリチウム以外の大半の放射性物質をほぼ取り除いた水で、再浄化した上で希釈して放出するとしている。

最終案では処理水を処分した場合、実際の濃度データの公表や第三者による放射性物質の測定など、透明性を高めることも求めている。