温室ガス削減目標 原発停滞は理由にならぬ

2019年11月23日 信濃毎日新聞 WEB

chart03_06_img01.jpg政府が、パリ協定に基づいて来年提出する温室効果ガス削減目標を現行の「2030年度に13年度比26%減」のまま据え置く方向で最終調整に入った。

 小泉進次郎環境相が、12月の気候変動枠組み条約第25回締約国会議で表明するという。原発再稼働の遅れが背景にある。

 東京電力福島第1原発の事故後も、安倍晋三政権は原発依存を続け、電力大手への支援策を打ち出してきた。エネルギー源の転換を怠ったから地球温暖化対策に貢献できない―との言い分が国際社会に通じるはずがない。

現行目標が示す削減率は、京都議定書の基準年の90年と比べると18%にとどまる。90年比40%減を掲げる欧州連合とは、そもそも開きがある。

 パリ協定に参加する全ての国と地域が目標を達成しても、気温上昇は避けられないため、水準の引き上げが求められていた。

 政府は、電源構成に占める原発の割合を20〜22%とする。再稼働を申請した全27基が稼働しても及ばない数値だ。建造コストが高騰し、価格競争力を失った原発にいつまでも固執すべきでない。

代わって二酸化炭素を大量に出す石炭火力発電の比重が増す。11年以降だけで少なくとも13基が新稼働、十数基が建設段階にある。高効率化してもガス排出量は天然ガス火力の2倍に上り、26%減の実現さえ危ぶまれる。

 安倍政権は、石炭火力の海外輸出も推進している。ガス排出量増加の一因となるばかりか、途上国の森林破壊、水資源や漁業の被害を招いてもいる。

石炭を重視する日本は、国内外の環境団体だけでなく、国連や経済協力開発機構からも繰り返し改善を促されてきた。大規模発電に頼ったエネルギー源の抜本的な見直しを避けていては、長期目標の「50年までに80%減」も絵に描いた餅になりかねない。

 世界の電力市場の主役は自然エネルギーに移っている。需要の高まりが技術革新を生み、発電単価を飛躍的に引き下げた。投資額も石炭火力をしのぐ。日本も電力大手から送電網を分離し、自然エネ事業者が公正に利用できる環境を急ぎ整える必要がある。

海氷溶解、漁獲量の激減や農作物の生育異常、干ばつ、洪水、豪雨…。国内を襲った台風を含め、温暖化の深刻な影響が世界各地で目に見えて現れている。防災の観点からも、脱炭素社会の構築から日本がこれ以上、立ち遅れることがあってはならない。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント